« 2016年12月18日 - 2016年12月24日 | トップページ | 2017年1月1日 - 2017年1月7日 »

2016年12月25日 - 2016年12月31日

2016年12月28日 (水)

不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その3)

 そして日本である。

 いま週刊誌などでは、日本経済の強さを世界に示すときが来たとか、株価はやがて2万5千円を超え空前の好景気がやってくる、などと根拠のない無責任なことを言い立てている。しかし一方で未だ累積1000兆円を超える赤字国債などによる借金で国の財政が賄われており、他方で「デフレ脱却のための消費拡大をもたらす」と称して「異次元の金融緩和」をさせて貨幣を大増刷しても消費者物価はずっと下がり続け、安倍首相の産業界への「賃上げ要請」にも拘わらず、円高・株安で儲けた大企業や不動産を買い、それを転売するなどしてボロ儲けしたり、「金融工学」を駆使して株や投機などでボロ儲けをした連中、そして観光やレジャーなどの「富裕層おこぼれ頂戴産業」以外は賃金がほとんど増えていない。ダブついたオカネはそういう「不生産的高所得者」のところにどんどん落ちていき、まじめに働く生産的労働者階級には少しも落ちてこない。つまり「経済の好循環」は生まれなかった。

 そもそもインフレで貨幣価値が下がることで物価が上昇して賃金も上がるように見せかけ、そのことで生産と消費の循環を刺激して、資本の回転を速めることによって資本家企業の利潤を増やすことが「経済成長」であると考えるのだから、そういう「経済学」は根本的に間違っているとしかいえない。これは、如何に少ない資源で社会の成長をもたらすかを考える本来の意味での経済学ではなく、労働者の生活(生活資料の消費)を資本家の利益を増やすための手段としてしか考えない転倒した「経済学」であり、無駄な消費をもたらすための過剰な生産とそれによる資源の無駄使いの回転率を早める「経済学」でしかない。

 そのくせ安倍首相は「働く女性の輝く社会」とか「働き方改革と長時間労働の抑制」とか「同一労働同一賃金」などと「リベラル派」労働組合のおはこを横取りするようなスローガンを掲げて見せる。連合などはそれに完全に足をすくわれてしまい、安倍と正面対決できなくなっている。

 しかし、その内実はうそっぱちであって、結婚して子供を育てる経済的余裕もない人たちの増加がもたらす少子化による労働者不足と、それに反比例するような資本家同士の市場競争の激化にともなって企業が必要とする労働量の増大という現実がある。その中で企業の収益を上げるために女性の労働力が必要であり、残業を廃しても労働量全体は少しも減らず、自宅に仕事を持ち帰ってこなさねばばならず、「同一労働」の解釈は経営者側の思惑如何に掛かっており、どうにでもなるので、利益優先のため結局実質的な格差は解消されない、などなどである。

 日本は一方でこういう危機的経済政策の中であやうい橋を渡りながら、他方でアメリカとの軍事的結びつきを維持し、憲法を改定して自国に軍隊を持つことを目指している。それは北朝鮮のような「仮想敵国」へのアメリカの核の傘のもとでの軍事的対抗措置や、表面的には経済的に結びついている中国などとの経済覇権をめぐっての軍事的能力によるその優位性の確保などが要請されているからである。

 国軍を持ち、中国などとの軍事的対抗関係を維持していくということはそれに必要な軍需産業が育たねばならない。実は軍需産業は過剰資本が常態となった末期資本主義経済体制にとっては救世主的存在なのである。それはアメリカにその典型が見られたように、完璧な不生産的消費である軍需品の生産は、一方で資本にとっては過剰資本の理想的処理方法であり、他方ではそれに投じられる莫大な国家予算(こういう形で過剰資本が用いられる)による先端技術の進歩がもたらす資本家企業への「イノベーション」のチャンスをもたらすのである。

 さらに国軍を持つことで、対外的に「国を護る愛国心」と自国支配者への「忠誠心」を醸成し、内部的矛盾を外部に転化させることが容易になるのである。

 しかし安倍政権は「アメリカ株式会社」のトランプCEOの場当たり的外交政策に翻弄され続けることになるだろう。 そのためアメリカとは対外的には「強固な同盟関係」を誇示しながら、内実は経済的・軍事的にもやや距離を置き、インド、ミャンマー、そしてアフリカなどへの新市場獲得に動き出すだろうし、資源の乏しい日本のエネルギー源を確保するためにロシアにも一歩譲らざるを得ないことになるかもしれない。

そしてやがて憲法が改定されれば沖縄の基地も米軍から日本国の軍隊に置き換えられていくだろう。このままでは沖縄はいつになっても基地から解放されないだろう。

 中国とは一定の経済的結びつきは維持して行かざるを得ないだろうが、アジアやアフリカなどでの新市場獲得をめぐっての熾烈な経済戦争が繰り広げられるだろう。そしてそこに「軍事的バックアップ」が必要となっていくだろう。

 どちらにせよ、こうした安倍政権の政策下では日本の労働者階級は決して主導権を握ることはできないだろうし、「明るい未来」もやってこないだろうということは確実である。

 いま主要な資本主義国の政権を突き動かし、回転を速めているグローバル資本のもとでその「成長」のために人生を奉仕させられている世界中の労働者階級は、互いに殺し合うようなことは決してあってはならないし、何が本当に対決すべき相手なのかを見定め、そこから何を取り戻すべきなのか、そして何を目指すべきなのかを真剣に考えねばならないときが来ているのではないだろうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月27日 (火)

不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その2)

 ロシア、ヨーロッパではどうなるのだろうか?ロシアは1917年の革命直後の一時期は農民に比べて少数派だった労働者階級がレーニンの指導で労働者評議会(ソヴィエト)を組織して実権を握ろうとした。しかしその後スターリンに乗っ取られた党の官僚による独裁強権政治に抑圧され「ソヴィエトなきソヴィエト連邦」となり果ててしまった。

そして第2次世界大戦ではヒトラーのドイツ軍を敵に回して、2千万以上もの労働者や農民の命の犠牲を払ってソ連という「国家」を守り抜いた。しかしスターリンの死後、フルシチョフなどによるスターリン批判もあったがその本質は変わらず、アメリカおよび西欧諸国との確執による「東西冷戦」の長い時代を経て、硬直した独裁政権の運営により徐々に経済が衰退、やがて「ソ連」は消滅し、共産党独裁政権も崩壊した。

  ところが一見「自由な国」になったように見えるロシアが、実はいまだにプーチンが皇帝のように政治も情報も牛耳っており、政権に反対する意見は公にすることができない。ソ連崩壊直後エリツィンの「自由化」によって一時崩壊しかけた経済を救ったプーチン政権により強大な利権を得た石油・天然ガスなどのエネルギー産業資本家が経済を支配し、その中で社会の格差化はどんどん進んでいるようだ。そのため最近は、かつてのソ連時代の方が格差が少なくて良かったと言う人も結構多くなっているらしい。

 そしてなによりもかつて「一国社会主義」を標榜したスターリン政権以来の国家主義的国民意識がいまだに大きな影を落としている。復権したロシア正教とともに「偉大なるロシア」という感情はロシア社会全体を大きく支配し、それが格差増大にも拘わらずプーチン「皇帝」を支えているようだ。

 そしてウクライナ紛争でロシアと対立するEU諸国とアメリカは経済制裁によってロシアに圧力を掛けているが、その一方でEUもいまや風前の灯火である。中東からの大量の移民の到来で、もともとヨーロッパ全体の経済共同体を目指していたEUはその構成国の一部で独自の判断で国境の壁を高め、高邁な理想ばかり掲げているEU指導部の方針に反旗を翻して自国の雇用や利害を護れと主張するようになった。

 EU中軸国であるフランスやドイツでは「リベラル」な中道・左翼勢力が主導権を握ってから、徐々にその理想と現実の間のギャップが顕著になってきており、ずっとくすぶり続けていた内部矛盾が国家主義・民族主義者たちの単純で「分かりやすい」(つまり底の浅い)主張である「ポピュリズム」と結びついて火がつき、一気に燃え広がりはじめた。いま彼らはその波に乗ってEU指導部が目指すのとは異なる方向を目指し出した。

しかし同じように底の浅い「リベラリズム」(社会民主主義などの中道・左翼に典型的な思想)はこれに対抗できない。歴史的に観ても第一次世界大戦も第二次世界大戦でもリベラリストはポピュリストたちが扇動した戦争を食い止められなかった。

 現に、フランス社会党出身のオランド大統領は、一方で労働者の味方のような振りをしながら経済成長を優先されるために労働時間の規制緩和を行い、また「反戦」のはずなのに中東諸国にフランス製の戦闘機を売り込んでいる。そしてフランスの農民達は安い酪農製品が外国からどんどん入って来るのでやっていけなくなると大ストライキを打った。今年になってからフランスは次々とテロの標的になった。オランド政権は一方で戒厳令を敷きながら、他方では社民党分裂の危機に瀕している。

 EUは域内の経済統合を謳い関税撤廃や人の自由な行き来を推進するが、構成各国の労働賃金や生活水準の差は如何ともすることができず、その矛盾が上記の様に矛盾した「経済成長優先」政策を採らせることになったと考えられる。そこに中東から大量の難民が押し寄せたのである。

 そして冷戦以後もアメリカと手を組んでNATO体制を維持し、東欧への進出を図ったためプーチン皇帝の腹の虫を刺激した。ウクライナ問題はソ連時代の指導部のまずい行政がソ連崩壊後に浮き彫りになったこともあってプーチンによるクリミア半島「無血占領」を成功させることになり、ウクライナ東部での小競り合いを誘発したともいえる。

 そうした状況でおそらくはEUは域内問題に手一杯でロシアとの対決には手が回らないだろう。そこにトルコのエルドアン大統領というやっかいな人物が登場しEUとロシアを相手にトルコの存在を誇示し始めた。プーチンは中東の紛争と難民問題にからめてトルコを通じてEUからの圧力をはねのけようとするかもしれない。

 こうなってくると、やがてユーラシア大陸の中央部でプーチンが経済制裁もなんのその「偉大なロシア」を謳いヨーロッパとアメリカを天秤に掛けて中国と覇権を競うようになるかもしれない。

(続く)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その1)

 来年早々アメリカではトランプが「アメリカ株式会社」のカリスマCEOになる。EUではハプニング的に始まったイギリスのEU離脱化が現実化され、ヨーロッパ大陸では、アフガン・イラク戦争や中東「アラブの春」の混乱からもたらされたシリアやイラクでの内戦から逃れてくる大量の移民に職を奪われるという危機感から、「メルケルおばさん」の努力にも拘わらず、国家主義・民族主義的右派が実権を握りつつある。

  そして世界経済はアメリカの退潮と中国の進出が顕著となるが、それをロシアのプーチン皇帝が「偉大なるロシア」の威力を誇示するために巧みに利用するだろうし、狭間にあってアメリカ一辺倒だった日本の安倍政権もいまや危機的となった「アベノミクス」の救い手としてロシアに色目を使ったりするが、結局頼るはアメリカということのようだ。
  沖縄では北部地域の米軍用地の一部が返還されたことを誇大に宣伝しつつ、実は米軍の基地を普天間から辺野古に移し北部地域の基地もオスプレイなどによってより強化していこうとしている。あの戦争での悲惨な状況と戦後70年米軍の基地下にあった沖縄の人々の苦難などまったく眼中にないらしい。
  オリバー・ストーンら知識人たちの安倍首相への公開質問状にあるように、パールハーバー慰霊訪問はまったくのパフォーマンスでしかなく、安倍首相の本音は、あの「大東亜戦争」はアジアの共栄を目指すものであったし、あの中国やアジア諸国での数百万におよぶ人々の殺戮や破壊に対して謝罪や反省をする必要などまったくない」というものであろう。今はアメリカと「かつての敵国がかくも強固な同盟を結ぶ関係になった」ことを強調したいばかりにこういうパフォーマンスが必要だったのだろう。
 さて、2017年はこういう、国際級の「騙し合い」政治に翻弄される年になりそうだ。まずアメリカだが、トランプは「アメリカに製造業を取り戻す」と息巻いているが「アメリカ株式会社」CEOとなったならそんなことができるわけがないことにすぐ気付くだろう。少なくとも「made in USA」が国際市場で勝てるようになるためには、価格競争力がなければならず、そのためにはアメリカで製造業に従事する労働者の賃金はこれまでより遙かに安くなければ成り立たない。これが不可能だからアメリカの製造業は賃金の安い国々へと生産拠点を移したのだから。これが資本主義経済の「法則」なのである。
  東西冷戦が終わって四半世紀が経ち、莫大な国家予算(つまり税金)で成り立っていた軍需産業や宇宙開発産業は、いまでは苦しい立場になっており、これらの国家的事業を支えとして成り立っていたアメリカの製造業の土台は大きく崩れている。
 だからアメリカはいまや莫大な設備投資や労働力が必要なハードウエアではなくソフトウエア的産業に利益獲得の軸足を移しており、「知財」を武器にしている。そうした企業で成功し富を獲得できるのはオカネもあり頭脳も明晰な人間でなければならず、そうでない大多数の「フツーの人々」は労働市場から落ちこぼれ、失業するか下層労働者に落とされていく。
 トランプはそれでもパフォーマンスで一時しのぎをするだろうが、だんだんそのインチキ性と中身の無さに皆が気付き出す。そして場当たり的な政策で国際的にも一気に信用を失っていくだろう。そこからアメリカの本当の危機が始まる。
 いま「トランプ景気」で不動産などでバブル現象を見せている経済は一気に破綻し、世界的な不況がやってくるだろう。そしてからくも「トランプ景気」による株高と円安に支えられているボロボロのアベノミクスはここで完全に崩壊するだろう。
 そうなると「ここぞ」とばかりに中国やロシアが「世界覇権」をめぐって暗躍するだろうが、中国はアメリカ企業が販売するハードウエアの一大生産拠点でもあり、そこに投資されたアメリカ資本が引き上げてしまったり、そこから生産技術のノウハウを獲得した中国企業が作る自国の製品を輸出して稼ごうとしても、その主要な販売先でもあるアメリカの「消費者」の販売力が落ちれば、打撃は大きい。経済的にはアメリカと中国は「持ちつ持たれつ」の関係にあるのだから。
 この場合、中国が1960年代の日本のようないわゆる「内需拡大」で自国の製品の市場を国内に求めることができれば、アメリカの資本や市場に影響されることが少なくなるのだが、如何せんいまの状勢ではそのようなことは不可能であり、国内の富裕層と下層労働者たちの格差が増大しつつあるため、不満が爆発寸前になっている状況であって、ことは簡単には行くはずもない。
 また中国はAIIBなどを通じて東南アジア諸国への開発援助と称して、それらの国々への経済的支配権(市場も含めて)を確立しようとしており、それを確実なものにするために南シナ海などでの軍事的勢力圏を拡大しようとしている。そしてこれに対するアメリカの警戒感(日本もこれに追従しているが)はつのるばかりだ。
 こうした「矛盾的自己同一」をアメリカと中国はどのように克服しようというのだろうか?
 おそらく両国はまずは実質を取ろうと、互いに経済的に不利な関係にならないような政策を採ろうとするだろう。しかしこのとき国内の政権に対する支持が危うくなると、その内部的危機を外部的危機に転化しようとする方向に向かうかも知れず、これがさらなる軍拡につながり、まかり間違えば戦争の危険も生じるだろう。
  トランプCEO率いるアメリカ株式会社の従業員が「一丸」となって「強いアメリカ」を叫び、習近平皇帝が中国臣民に「大中華圏を護れ!」などと鼓舞することになるとそれこそ世界は平和でいられなくなるだろう。
(続く)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年12月18日 - 2016年12月24日 | トップページ | 2017年1月1日 - 2017年1月7日 »