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2017年1月24日 (火)

オリバー・ストーン監督の「トランプ支持?」発言を巡って

 今朝(1月24日)の朝日新聞朝刊にアメリカの映画監督オリバー・ストーン氏へのインタビュー記事が載っていた。

 その中で最も意外だったのは鋭い政権批判を繰り返していた彼がトランプをある意味で支持しているという発言だった。もちろん全面的な支持ではなく、政権と情報機関(CIAなど)との癒着による他国への介入主義とその反面としての国内の状態への軽視と国民への監視の強化などという状況が「リベラル」を標榜する民主党にもはびこっていることへの「変化」を期待してのことであろう。
 確かにいまの日本の民進党などにも見られ、マスコミの一部などにも見られる「リベラル」の中身がいかにインチキで本当の意味で資本主義社会の病根をとらえていないかは、私も同感である。彼らが多くの見捨てられ希望を見失っている人々の期待をつねに裏切り、結局は資本主義権力の「左からの」補完役しか果たしてこなかったことへの失望がいまの日本に横溢していると思う。
 しかしアメリカと日本の違いは、アメリカが世界資本主義を経済的にも軍事的にもリードする存在であったということ、そして日本はその忠実な「しもべ」に過ぎなかったということである。
 この違いを前提にしてこれからの社会を考えねばいけないが、それにしてもオリバー・ストーン氏のトランプへのとらえ方は疑問を感じさせる。彼はトランプが辣腕のビジネスマンだったから、他国との関係もビジネスで損をするようなことはしないだろうと考えている。そして、だから戦争は避けるだろうとも言っている。またこれまでの政権と違って情報機関の堕落への視線を持つことができ、国内問題にも目を向けるだろうという。政治的に未経験であるトランプをそういう方向に導いて行ければアメリカはいまより良くなるだろうという期待を持っているのである。
 確かにトランプは有能な資本家であろうし、「損」を敢えて取るようなことはしないだろう。しかし、誰にとって「損」になるのかが問題だ。アメリカの資本家たちにとって「損」にならなくてもアメリカの労働者階級にとっては大きな「損」になることも彼は敢えてやるかもしれないしその可能性は高い。トランプの言う「アメリカ・ファースト」の「アメリカ」とはアメリカの経済的支配者である資本家階級のことであることは確実だ。彼がもしアメリカ労働者階級の立場に立っているのなら「万国の労働者、団結せよ!」と叫んだはずである。
 トランプが目指すのは1950-60年代のアメリカであり、当時のアメリカ政権がソ連圏に対抗する強大な軍事ネットワークを築き上げ、そこから世界中の富をアメリカの資本家階級に集中させその「おこぼれ」を労働者階級に流すことができた時代である。もうそんな時代はやってくるはずもないし、その時代にアメリカの労働者階級は「豊かな生活」といわれた生活資料商品大量消費時代の中で自らを「中産階級」という意識に染め上げられ、骨抜きにされていってしまったために、結局その資本主義経済体制の崩壊過程で今日のような惨めな状態に甘んじなければならなくなったのだ。
 そのことへの労働者側の反省がなければ再び日本の安倍政権のように「成長戦略がもたらす経済の好循環」などというマヤカシの言葉に振り回されることになるのだ。
 ストーンさん、そのことも考えて下さいよ!

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