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2017年2月13日 (月)

NHKスペシャル「隠れた貧困」を観て

昨夜 NHK-TV「NHKスペシャル」で隠れた貧困の実態について放映されていた。

 日本の6人に1人が貧困層(家族月収が20万円以下)に該当するという事実、そして特に子供達にその危機的状況が集約されているにも拘わらず、これが表面化していないという現実である。
 多いのは母子家庭や父子家庭での例である。親が非正規雇用の仕事で複数の職場を掛け持ちで懸命に生活費を稼いでも子供達の食事代や衣料費もろくに賄えず、子供は塾に行くオカネもなく、親が夜遅くまで働きに出ているために家事を子供が行い、子供達だけで食事を摂り、親との接触の時間もろくに持てないということだ。また子供が中学以上の場合は生計を助けるためにアルバイトに出ることが多く、高校生ではアルバイトをしている生徒が全体の半数以上にもなる。そして高校を卒業して職業を身につけようと専門学校に入学しようとしてもその入学金が高額であるため、これもあきらめねばならなくなる。貧困が貧困を生んでいく。
 そしてさらに深刻なのは、こうして親たちの苦労を知り、それをなんとか助けよう子供達も懸命に頑張るが、生活状況は少しも改善されず、その結果こうした状況に対して絶望感が深く静かに浸透して行っているということだ。
 ある県の高校での学生へのアンケートによれば、こうした貧困層に属する学生達の多くは、将来への希望など持てず、自分の存在意義にすら自信を持てなくなり無力感に陥っている。
 やがてこうした子供達が大人になっていっても家庭を持つことに意欲を失い、孤独で貧困な生活を送る可能性が高い。そしてたとえ子供を持ってもその子供達も親と同じく貧困と絶望感絶望感の中で生きねばならなくなる可能性が高い。本当に悲惨な現実である。
 「Nスペ」ではこれを貧困の「負のスパイラル」と言っていたが、それがあまり遠くない将来に社会的には41兆円もの損失をもたらすと言っていた。
 この「41兆円の損失」とはいったい何を意味するのか?誰が損失するのか?41兆円とはどこから出てくる数値なのか?もちろん経済的に何らかの計算根拠がある数値なのだろうが、貧困が社会の損失になるという考え方自体がおかしいのではないか?
 貧困層の子供達が大人になって、もし「立派な労働力商品」になれれば、大資本に雇用されそこで働き、剰余価値を無償で与えることで企業の利潤を上げ、その賃金で商品をたくさん購入でき、商品市場でも企業に利益をもたらしてくれるだろうが、もしこの子たちが貧しい生活を強いられれば、労働力としての質も落ち、生活資料への購買力も落ち、商品市場での企業利益が減り、企業からの税収が減るので社会保障費などに政府の税負担が増大するとでもいう意味なのだろうか?
 要は、こうではないのか?
こうした貧困がなぜ増えていくのか? なぜそれに対していわゆる中間層や富裕層は無関心なのか?そしてなによりも社会全体の在り様に責任がある政府がなぜこの問題を最優先課題として取り組もうとしないのか?
 社会は誰のためにあるのか?誰が社会を支えているのか?なぜ「経済成長」のためにこうした人々が犠牲にならねばならないのか?
 それは「41兆円の損失」などという問題ではなく人間そのものの喪失なのではないのか?

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