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2017年4月 2日 (日)

内閣府世論調査の結果をどう考えるか?

 4月1日に内閣府・社会世論調査の結果が発表された。その主な内容は以下の通り。
 
  現在の社会に全体として「満足している」との回答が65・9%で、前回調査(平成28年2月)から3・9ポイント増加した。質問を始めた21年以降で最高となった。一方、「満足していない」は3・9ポイント減の33・3%で、過去最低だった。
 満足している点は「良質な生活環境」が43・2%で最も多く、「心身の健康が保たれる」(27・0%)、「向上心、向学心を伸ばしやすい」(17・8%)、「人と人が認め合い交流しやすい」(17・1%)、「働きやすい環境」(15・7%)などが続いた。反対に、満足していない理由のトップは「経済的なゆとりと見通しが持てない」(43・0%)だった。
 民意が国の政策に「反映されている」と思う人は、4・7ポイント増の34・6%で、過去最高水準に迫った。日本が良い方向に向かっていると思う分野では「医療・福祉」(31・4%)、「科学技術」(25・8%)、「治安」(22・0%)などが上位に挙がった。
 というわけであるが、これは18歳以上の人、1万人に面接方式で調査し、5993人から回答を得た結果だそうだ。つい先日世界「幸福度」ランキングで日本は51位、先進国で最下位だったという記事が新聞に出ていたばかりである。4月1日だからエイプリルフールの悪戯ではないかと思われた人も多いだろう。サンプリングは本当にランダムだったのだろうか?安倍首相を喜ばせる結果である。しかも森友学園問題などでさんざんマスコミに取り上げられていても安倍政権の支持率は下がっていない。これはどういうわけか?
 確かにいまの日本はシリアなど中東諸国の悲惨な現状からみれば「夢のような国」であるかもしれない。「安全・安心」が叫ばれ、「便利さ」が優先され、「サービス」が過剰なまでに演じられる社会である。日々の暮らしの中で特に深く悩んだり将来のことを心配したりしなければ、スルスルと毎日が過ぎて行くからだ。
 一方で子供の貧困が深刻化し、一人親の家庭は子供にまともな教育も与えられず、生活苦に喘いでいるし、非正規雇用やアルバイトで生活する若者たちは自分の存在意義に疑問を持ち、将来の不安を抱えながら結婚もする気が起きず日々鬱々として生活しているし、増え続ける高齢者が増えない介護予算や介護者の減少への不安を現実としながらも半分あきらめの境地で何とか日々生きていても、TVを観れば楽しい娯楽番組やスポーツなどで気を紛らわすことができるし、若者はスマホでゲームをしたり互いにおしゃべりし合っていれば気持ちも紛れる。
 マスコミ界ではどこでも「すばらしいニッポン」をテーマに日本の伝統的事物や習慣を称え、技術の素晴らしさを称え、外国人が日本を称えていることを伝える。そしてスポーツでも「がんばれニッポン」の大合唱が持ち上がる。私たちは「ニッポン」という良い国に生まれ育って良かったと思わせるための一大キャンペーンとして行われている。こうした雰囲気の中で「暗い面ばかり見ないで前向きに生きよう!」というメッセージがどんどん浸透する。
 それはそれで否定する気はないが、これがどういう背景や暗黙の意図のもとに行われているのかも問題だろう。わざわざこうした一大キャンペーンをしなければならないほどその反面の日本は深刻で未来を描けない暗い状態なのである。 この一大キャンペーンが行われる中で日本の本当の姿は見失われ、この深刻な状況に正面から取り組もうとする人が少なくなっていると思われる。その結果「現在の社会に満足」と考える人が増えているのだろう。
 ちなみにこの世論調査の後半ではこういう結果がでている。
 現在の社会に満足していない理由のトップは「経済的なゆとりと見通しが持てない」が43・0%だった。一方で「国を愛する気持ちが他人と比べ強い」と答えたのは55・9%、「弱い」が6・0%で、ともに横ばいだった。国を愛する気持ちを育てる必要があるかについて「そう思う」との回答は73・4%で、23年(81・0%)以降、6年連続の減少となった。
 「経済的なゆとりと見通しが持てない」43%の人は貧困層かそれに近い人々と考えれば、 「国を愛する気持ちが他人と比べて強い」と答えた55.9%の人の何割がそれに属するのだろうか?いずれにしてもその割合は減少しつつあるのだ。
どちらにしても「国を愛する気持ち」とその反面である他国や他民族を排斥したり低く見ることとの矛盾関係をどう克服するのか?そもそも「国」という抽象的概念とその国に暮らす一人一人の具体的人間の間にある巨大なギャップをどう考えるのか、といった大きな問題はどこかにぶっ飛んでしまっている。

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