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2017年4月 1日 (土)

コメントにお応えして

 mizzさんから久しぶりにコメント頂いた。朝日朝刊の小熊氏の論壇記事への私の意見に関してである。

 おっしゃるとおり、たとえ非正規雇用労働者の時給が2,500円になったとしても彼らが正規雇用を選ぶか非正規雇用を選ぶかではなく、雇用する企業側の問題なのだ。労働者が自由に自分の雇用者を選ぶことは資本主義社会ではできない。
額面上はそうなっていて、就活などでもインターネットで自分の行きたい会社を選んで就職試験を受けに行くが、そのときすでに自分がその会社に雇ってもらる可能性の予測のもとに出かけるだろう。卒業大学の「ブランド価値」、専門領域、年齢などなど雇用者が注目してくれそうな項目を自己評価して出かけるだろう。
つまりそこではすでに企業の選択基準を先取りしているし、企業はそれを見越して求人している。いわく「やる気があるか、職場での人間関係をうまくやれるか、企業にとって手足まといにならないか」などなどである。そして大学や高校でもこうした企業の選択基準に合わせるよう学生の就職訓練を行う。
結局選ばれたほんの一握りの学生だけが「企業を選ぶ」立場になれる。残りのほとんどの労働者予備軍は希望に添わず条件が悪い会社でも黙って従わねばならなくなる。しかもその選ばれた一握りの学生でさえ、自ら資本の論理のもとで将来は労働者を雇用していかに効率よく働かせ、企業の利益を上げるかを考える立場になるのである。人格化した資本として。
 資本主義社会の労働者は資本家企業に雇ってもらえなければ生きていけないため、こうして圧倒的に弱い立場であるし、教育の過程でさまざまな個性がつぶされながら企業の求める人材、つまり優れた労働力商品としての条件に合わせて、本来の自分の個性を殺していかねば生きていけないのである。
 ところで、最近のニュースでは国内の失業率が過去最低レベルまで下がり、雇用が増大したそうである。しかし、その内実は、非正規雇用労働者が仕事に耐えられず、どんどん辞めていくため、つねに人手不足が起きており、非正規雇用労働者は条件の悪い企業を渡り歩きながら生活せざるを得ないという状況があることを忘れてはならないだろう。つまりいま労働力市場では労働力が不足しているが賃金が上がらないという状況が生じているのである。それが証拠に失業率が減っても賃金水準は少しも上がっていない。

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