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2017年5月18日 (木)

トランプとマクロンの運命は?そしてその次に来るべきものは?

 予想されていたことではあるが、ロシア機密情報提供問題やFBI長官解任などの司法権への介入問題、そしてマスコミへの攻撃などでいま矢面に立たされているトランプ大統領は、それでもなお彼を信頼し絶対的に支持している人々を持っている。これまでの民主党政権の中途半端な政策に嫌気がさしていた人々がそのほとんどだ。

 一方、フランスではオランド社会党政権のどうしようもない中途半端な政策に嫌気をさした多くの人々が一方で国粋主義をカンバンとする「極右政党」のルペンを支持する人々と、他方でEU支持派で「無党派」の若いエリートであるマクロンを支持する人々とが大統領選決選投票でたたかい、マクロンが勝利をおさめた。マクロンは既成政党から脱した新たな政党組織「共和国前進」を作り、そこに左右両派から有力者を引き込んで、新たな組織とイメージ作りに怠りない。
 要するにアメリカでもヨーロッパでもいわゆる「リベラル派」に対する絶望感が溢れているのである。そして顧みれば5年前、日本でもあの民主党政権での無為無策に失望した人々が安部自民党に投票し、大勝利を許した。
 安倍政権はその後強引な憲法改定への振る舞いや森友問題や下計学院問題などで不正に政治権力を用いた疑いを持たれてるし、その強権ぶりはすでに予想された通りであるにも拘わらず、支持率は高止まりである。
 こうしたいわゆる先進資本主義諸国の人々は「リベラル派」の何に失望したのだろうか?もちろんその原因はいろいろあるが、端的に言えば、国際的連携と平和を主張し、「自由・平等」を旗印にしているが、その中身は、国家間の壁を取り除き、人やモノの行き来を盛んにすると、自国内で働く人々の生活を脅かし、逆に国家間の対立をますます増大させ、社会保障や福祉を充実させようとすれば、働く人々からの税金を増税しなければならなくなり、大企業や富裕層からの税を増やして補おうとすれば、企業の競争力が低下し「景気」が後退し、雇用が減り、労働賃金も下がるので人々の生活は苦しくなる、といった矛盾が噴出しているからであろう。つまり「既得権階級」を代表する保守政権に対抗して「市民派」を掲げたリベラル派も結局は「既得権階級」の仲間であったことが見えてきたからであろう。
 こうした諸矛盾は突き詰めれば結局経済問題の矛盾にぶち当たる。国際的連携と平和を主張し、「自由・平等」を旗印にすること自体は間違ってはいないが、それが誰のための「自由。平等」なのか、だれのための「国際連携」なのかが問題である。その基礎には「経済が成長すれば景気の好循環が生まれ、働く人も企業もウインウインの関係になる」という幻想があるからだ。
 「経済成長」とは資本主義経済の成長のことであり、その基本は企業が利潤を増やし続け、それによって事業を拡大し続けることができれば、市場のモノやカネの回転も加速され、雇用も増え、企業からの税収も増える、という考え方である。これは資本家階級のイデオロギーなのである。
 こう私が自信を持って書く理由の論理的証明はこのページではとても書ききれないので、安倍首相流に言えば「資本論を読めば分かります」ということになるが、要点だけ述べれば、社会を支えるために働いている人々はその労働が生み出す価値のうちから自分の生活に必要な商品を購入するために必要な部分を「労働賃金」として与えられるが、同じ労働が生み出したそれを超えた価値部分「剰余価値部分)を雇用者である資本家企業に無償で持って行かれ、資本家企業はその「剰余価値」を商品として市場で売りさばくことによって利潤を得ているのだが、この本来不当な関係を、雇用者が得た利益を雇用者と被雇用者間で平等に分配するという外観を持たせることによってごまかしているのである。
  だからこのイデオロギー下では、労働者の賃金も企業の利益もともに「所得」として扱われ、「平等に」税金が掛かってくる。そして企業が吸い上げた莫大な剰余価値分は本来ならば社会全体の共有財として社会保証や福祉に投入されねばならないはずだが、現実には企業の私的財産として扱われ、膨大な価値が資本として私的事業の拡大(いまやこれが地球環境の破壊をもたらしている)や他企業や他国企業間との市場での「自由競争」に勝つために注がれている。つまり「経済の成長」は資本の成長であり、「自由・平等」は資本家間の売り買いの自由なのである。
 ここから当然「カンバン」と現実の間の矛盾が生じ、それを、姑息な手段で穴埋めすることが政権にとってのいつもの課題となるのである。もちろん「リベラル派」もこの一端を担っているに過ぎない。そして「リベラル派」は保守勢力よりもいっそうこのカンバンと現実の間のギャップが大きいのである。
 さて、トランプはこの矛盾を「自国第一主義」と資本家的経営手腕(リベラル派と対抗する資本家的リアリズム)で乗り切ろうとしているがすでに破綻が見え見えである。プーチンとの選挙密約がバレそうになると司法までを自分に都合のよい方向に向けようとしたり、移民の国アメリカを移民阻止の壁で覆い尽くそうとしたり、手のつけられないワンマン社長である。もっとも資本家階級間ではこうしたビジネス手法は当たり前なのかもしれないが。
  そしてマクロンは「リベラル左派」的イメージでフランス既得権階級の矛盾を乗り切ろうとしているようだが、さてどうなるか?こう言っては失礼かもしれないが、多分挫折するだろう。
  そしてわれわれが本当の意味でわれわれ自身のための社会変革に立ち上がれるか否かは各国の次世代を担う若者達がこの真実に気づき、国境を越えて結束・連帯できるか否かに掛かっているといえるだろう。
 そういう展望のもとで、いま既成のカリスマに期待するのではなく、われわれ自身の手で、新たな社会への「デザイン」を展望することが必要なのではないだろうか?

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