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2017年6月28日 (水)

現代の「既得権階級」とは何だろう?(その3:まとめ)

 2回にわたってこのブログで書いてきた現代の「既得権階級」に関する考察をその要点でまとめてみよう。

 (1)現代のいわゆる「既得権階級」とは、現実には賃労働と資本という矛盾的自己同一関係を基礎にしてその上に作られている社会の仕組みを普遍的な社会の形として暗黙のうちに認め、その仕組みや論理を「社会常識」という形でイデオロギー化することで、現実の階級関係を見えなくさせ、その上にあぐらをかいて世界中の労働者の生み出す富を「自由」に取得し所有できる既得権を持っている人々のことであるといえるだろう。
 (2)その「既得権階級」の構成実体は、本来の資本家階級はもちろんのこと、賃労働によって生きている労働者階級の一部、特に「中間層」と言われる上層部(主として知識労働者)の多くが含まれている。そしてもっとも過酷な状況に置かれている労働者たちや、そうした労働者の家族(特に子供)、そして労働できなくなった高齢者や障害者などが、その「既得権階級」から「落ちこぼれた」と見なされている人々であり、この格差は拡大している。
 (3)「既得権階級」の生み出すイデオロギーは例えばアメリカの民主党や共和党などのような「左派あるいは「リベラル」と右派あるいは「保守派」という形で対立する形をとり、両者の間の政策の違いや論争を通じてつねに軌道修正をおこなっているかのように見える。これをこの社会では「議会制民主主義」と言っている。そして社会の矛盾はこうした左派と右派の政策論争の中で解決されていくかのような幻想を生み出している。こうした左右の対立では新興資本家たちが旧来の資本家達の「既得権」を批判する意味で「左派陣営」を形成することが多い。また労働者階級上層部の人々もこうした「左派」を支持することが多い。
 そしてこれまで、「落ちこぼれ」と見なされてきた人々はこのどちらかの側を支持することで自分たちの生活が良くなると思い込まされてきた。だから彼らはときに右派あるいは保守派といわれる部分を熱烈に支持することもあるし、実際にそれによってある部分で生活が改善されたこともあったが、しかし本質的な矛盾は解決されず、つねに別の形をとって現れた。
 (4)この構造、つまり社会の基本的な仕組みにおける矛盾を覆い隠すイデオロギーによって真実を見ることができなくされている人々が、虚偽のイデオロギーを暗黙の前提としてその上で「左派」とか「右派」といった対立軸を形成し、そこに代議委員を送り込むことで本来それでは本質的に解決できない社会の矛盾を解決しようとする構造そのものがいま必然的に崩壊に直面していると考えられる。
 (5)この状態を脱するには、まず、いまの「支配的イデオロギー」のもつ虚偽性を明らかにし、社会の仕組みにおける矛盾の真実を、リアルな現状分析から突きつけることである。その上で、いまの「議会制民主主義」と言われる政治形態が本来の民主主義ではなく、たんに外見的形式だけがそう見えるという事実をあきらかにすること、それを通じて虚偽のイデオロギーが蓄積している「社会常識」という地層の下に埋もれてしまっている真実の岩盤を掘り起こし、その上に確固とした未来を実現できる社会を築き上げるための運動や組織を生み出していくことが必要なのではないだろうか?
 どこかの資本家企業に雇用され、あまり楽しくない労働を一日中行いながら生活し、会社が他企業との競争に負けていつ「合理化」で失業したり配置転換になるかとびくびくしながら生涯を送るのが人生なのではなく、それぞれの場でそれぞれの形で働くことで社会をともに支えながらともに自分の存在意義を確認し合える共同社会の実現は、夢ではなく、現にいまではそれが一つの国の中だけではなくグローバルな形で世界中の人々がそうした形での連帯共同社会を生み出しつつあるのだ。それが「既得権階級」の「支配的イデオロギー」によってゆがめられ、空虚な「民主主義」か国家主義や民族主義などという形を目指すべきであるかのように思わされているだけである。
 もし世の「有識者」が本物の「インテリ」であるならば、そこに向かって真実を語ることができなければならないだろう。

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