« イメージ広告商戦としての選挙運動に惑わされるな | トップページ | 「迷える子羊」さんからのコメントにお応えして »

2017年10月15日 (日)

すでに「潜在的過剰生産恐慌」状態のアベノミクス

 衆議院議員選挙もいまや真っ盛りでマスコミでは各党への投票率の予測をしているが、残念ながらどうも自民・公明連合の座は揺るぎそうにない。あれだけ、森友、加計問題で権力の私物化・乱用を行い、しかも安保法制、共謀罪、などで憲法や人権を実質的に破壊しながら、安部首相は北朝鮮の暴走にバックアップされ、「ニッポンを守り抜くのはわが党しかない」などと叫んでいるのだ。

 こんなひどい安部政権でありながらいまだに支持率が落ち込まないのは、ひとえに「好景気」のおかげであろう。経済指標(これがそもそもマユツバなのだが)はどれもそれほど悪くなく、株価は最高値を更新(実はこれも政府・日銀が買い支えている)しつつあるし、政権側の主張によれば「いざなぎ景気を超える長期好景気」なのだそうだ。「人手不足」で大卒の就職率は良く、失業率も数値上では低い。自分の財産を投資に回せる富裕層や中間層の人たちは、株や不動産投資で儲けを増やし、豪華な遊び道具やブランド品収集、超豪華な観光、グルメ三昧などリッチな「買い物人生」を楽しんでいる。

 しかし、その一方で、莫大な教育費(教育資本が莫大な利益をあげている)が負担できず、こどもを進学させることもあきらめたり、小さな子どもを保育園に預けて働きにでなければやっていけない女性が保育園に子どもを入れることすらできず、仕事をあきらめざるをえなくなっているケースも多い。経済的理由で「一流大学コース」に乗ることができない若者達はその段階で。中間層や富裕層への道を閉ざされ、一人前の生活者としての生活もあきらめざるを得なくなる。そして結婚も出来ず、次々と非正規雇用の仕事を渡り歩き孤独な生活を送らねばならない。健全な次世代を築くはずの家庭が崩壊しつつある。こうした若者達の老後はいったいどうなるのだろうか?「ニッポン」の悲惨な未来が垣間見える。
 リッチな人々はさらにリッチに、貧しい人々はさらにプアーになっていく状況が生まれていることは疑いもない事実だ。これこそ歴代自民党政府が行ってきた政治の結果であり、最大の「国難」であろう。
 現政権もこうした状況を無視できず「教育負担の軽減」とか「人作り改革」などと一見カッコイイスローガンを掲げ「少子高齢化社会への社会保障負担の増大という国難に対処する」などと叫びそれらが「好景気」のもとで可能であるかの様に見せているが、これはとんでもないごまかしである。結局「消費税」を上げ、労働者階級からその費用を吸い上げることしかできないだろう。「国難」を生み出してきた張本人がその原因を顧みず「国難突破」などといってもそれはごまかし以上のむしろ詐欺だ。
  そこでこの安倍政権の支持率を維持させている「好景気」の真実の姿を求めてみよう。
  いまや首相の御用機関となってしまった黒田日銀が打ち出した「異次元の金融緩和」で市場にばらまかれたカネは、当然のことながら為替相場で円の価値を引き下げる。そして他方で国債を日銀が買い支えることで国が借金を背負い込む形でその信用を維持しながら、そのカネが資本の回転を速めさせるために「大胆な財政出動」と「成長戦略」を打ち出す。
  この「大胆な財政出動」とは大企業を中心にした公共事業などへの投融資を行い、それらの企業の利益増大をテコとして関連下請け企業にもそのおこぼれが落ちてきて、最後にそうした企業に雇用されている労働者の賃金も上げることができ、それによって労働者達の「購買力」を高め「消費拡大」に繋げるという目論見だ。安倍首相はこれを「経済の好循環」と称していた。このごまかしは「物価上層による景気回復」という経済的にはまったく矛盾した表現(物価を安定させることで生活を安定させるのが本来の姿だ)に表れている。
 その一方で貸し出し金利がほとんどゼロになり、その低い金利を利用して中間層の人たちにローンで家や高級家電・家具など大きな買い物をさせる。そこで建設業や関連メーカーが大きく儲かり、そこに投資マネーが流れ込むと同時にそれらの企業に低賃金非正規雇用の労働者が流れ込む。そして「人手不足」を名目に長時間労働が日常化する。設備投資でリスクをおかして「合理化」するよりその方が安上がりだし、使い捨てできるからだ。
 また富裕層がマンションなどへの不動産投資をどんどん行うようになり、カネが過剰に流通している市場で不動産の価格が途方もなく上がりその売買差額でぼろ儲けをする人たちも現れる。彼らは新興富裕層になっていく。
 しかしアベノミクスの目論見は成功しなかった。なぜならば市場に大量に流れ込んだカネは大企業や投資家には大量に吸収されたが、それは競争力をつけるなどのために新技術を開発した新興企業の買収や資本の統合のための資金という形で企業がより巨大化するために用いられたりして、労働者階級にはほとんど落ちてこなかったからである。
  つまりアベノミクス3本目の矢「成長戦略」とは大企業や投資家たちが莫大な利益をあげるためにしか機能せず、「賃上げによる消費拡大」や「デフレ解消」をもたらさなかった。
  しかし大企業はアベノミクスが危ない橋を渡っていることをすでに知っているため資本の内部留保を増やし、景気変動に備えようとしているし、それを設備投資などで生産手段の拡充に必要以上に回そうとはしない。
 これらの状況を見ると、結局異次元の金融緩和で流し込まれたカネは過剰資本を増やすだけの機能しかなく、それによって過剰生産・過剰消費の回転を速めることで資本家が投下した資本に見合う利潤を生み出せない本物の過剰資本とならないような状況をつくるために回されるだけなのである。
  これはすでに実質的に過剰化している資本のもとで生産的でなくなっている資本主義経済体制を不生産的消費を増やすことによりその過剰化した資本を消費させることでなんとか形の上で体制を維持させていこうとする弥縫策であり、その意味ですでに「潜在的な過剰生産恐慌」*とも言える状況である。
 いまや危うくなってきた「潜在的過剰生産恐慌」の状態を顕在的恐慌にさせないために安部政権に残された最後の手は、軍需産業の様な巨大な「不生産的消費」産業に莫大な投資を行うことである。これには憲法を改定して合法的に「国軍」を持たせ、そこに政府主導で堂々と巨額の財政出動を行うことである。そして軍事技術の輸出で儲けるためには軍事的緊張も「好材料」なのである。
  そしてもう一つは「IR]と呼ばれている巨大な総合ギャンブル施設を国家が支援して作り出し、そこに世界中の富裕層からオカネを落とさせ関連する第3次産業にカネが回るという仕組みである。まさに腐朽化した資本主義社会の退廃の極みである。モノ作り技術を磨いてきた日本の労働者たちもここでは用がなくなり、ギャンブラーをもてなすバーテンダーにでも転職しなければならなくなるだろう。
 さあ、それでも自民・公明連合や、「反安部」を掲げながら実は安倍政権とほとんど変わらない政策しか持っていない「希望の党」に投票しますか?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
*「潜在的な過剰生産恐慌」というとらえ方は「資本論150年記念シンポジウム」で中央大学の建部正義氏が用いたとらえ方である。

|

« イメージ広告商戦としての選挙運動に惑わされるな | トップページ | 「迷える子羊」さんからのコメントにお応えして »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
時々このブログを拝見している20代の労働者です。

読んでいて勉強になると思っています。

おっしゃられていることは概ねその通りだと思われますが、一つだけ気になりました。

「一流大学コース」に乗ることができない若者達はその段階で。中間層や富裕層への道を閉ざされ、一人前の生活者としての生活もあきらめざるを得なくなる。

この一文は合っているようで、合っていない気がしました。

一人前の生活者とは何なのか、いまいちよく分からないからかもしれません。

普段の生活を思い返してみます。

仕事+自宅学習+体力や健康維持の運動。
消費は光熱費と家賃、食費、その他雑費程度。

必要な物は価格コムで価格を比較検討しながら、一週間から数カ月は検討を重ねる。

娯楽は読書と映画、ドラマと音楽鑑賞。

本は図書館で済ませる。
映画とドラマは民放や金曜ロードショーとディーライフ。Amazonプライム。

音楽鑑賞はユーチューブ。

インターネットは広告が邪魔なのでアドブロック。
民放は全て録画でCMはカット。

自動車は必要ありません。
住む場所はネットが出来れば、特にこだわりはありません。安くて構わないです。

民間の保険はガン保険と県民共済のみで年間3万5000円。
65歳からはなし。

さらに給料から月7万円は投資に回しています。
手取りは月20万円前後です。

さすがに超富裕層は難しいと思っています。
ですが、富裕層は案外可能かもしれないと思っています。

参考URL:https://www.nri.com/jp/news/2016/161128_1.aspx

私は消費することに魅力を感じていませんし、結婚や子育てにも価値を感じていません。

そして金融庁がお墨付きで、長期的に投資をすれば儲かると話しています。NISAは利用してません。

参考URL:http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/09.pdf

最近は投資信託であれば100円から購入できます。
参考URL:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20170512-01.html

私は40年間の投資で資産を作る予定です。
参考URL:http://myindex.jp/

ノーロードで信託報酬が年0.2%前後。
国内外の株と債券に投資をして月7万円で年利4%。

参考URL:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/simulation/

理屈としては8000万円を超えます。

経済成長が前提となる上、給与は稼いでいかなければなりません。

しかし、一流大学を出ていなくても将来を悲観していない若者もいることを伝えたかったです。

以上です。

投稿: 迷える子羊 | 2017年10月17日 (火) 20時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/210651/65920812

この記事へのトラックバック一覧です: すでに「潜在的過剰生産恐慌」状態のアベノミクス:

« イメージ広告商戦としての選挙運動に惑わされるな | トップページ | 「迷える子羊」さんからのコメントにお応えして »