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2017年11月 9日 (木)

トランプのアメリカが目指す方向とその矛盾について(その2)

 トランプは、日本の後、北朝鮮問題の渦中にある韓国を訪れた。韓国では日米韓の軍事的同盟化を警戒した韓国から一定の距離を置かれ、Thardの追加配備をあきらめざるを得なくなった。その後、トランプは中国に行った。中国では故宮博物館を「貸し切り」にするという破格の歓迎で、トランプをもてなした。それに加えて20兆円にもおよぶ商談を成立させ、トランプを喜ばせた。ご機嫌のトランプはかつて泥棒呼ばわりしてきた米中間の貿易不均衡問題をアメリカの前政権のせいにしてしまった。しかしトランプは対北朝鮮問題では中国からは実質的に何も新たな成果を引き出せなかった。

 つまりトランプの目指す方向とは相反して完全に習近平のペースに乗せられたようである。結局、何もかもトランプのペースで行けたのは日本においてだけであった。シンゾーはドナルドの意のままに振る舞ってくれたのだ。
 ベトナムでのAPECではプーチンとどのような話が出てくるのか予断は許せないが、どちらにせよ、中国の世界市場制覇の意図の前にアメリカは主導権を握ることが難しいという印象を世界中にに印象づけたのではないだろうか。東西冷戦の崩壊とともに皮肉なことに「パックスアメリカーナ」も崩壊をはじめ、その混乱の中から頭をもたげてきたのは中国だった。
 どちらにせよ、この混乱の中で確執を繰り返す国々の支配層がナショナリズムを推進し、国家間の無政府的市場獲得競争が激化すれば、経済的には相互依存関係にあっても政治的にはつねに対立をはらみ、軍事力を背景とした「力」を見せつけなければならなくなるだろう。そしてその渦中で日本でも「改憲」が現実化し、アメリカから高額な軍需品を大量に購入し装備した「国軍」が登場することになりそうだ。
 こうした歴史の危険な流れが始まる中で、世界経済を支配するグローバルな資本の回転の中で、その資本の人格化であるグローバル企業の経営陣同士の相互依存<即>相互対立という矛盾関係を総資本の代弁機関である「国家」として調整しながら、対外的には国家間でも経済的相互依存関係が同時にトップ争いの場ではつねに対立関係として軍事力を背景に戦争の危機をはらみながら動いていくことになるだろう。
  もっとも重要なことは、国家とはそれを成り立たせている経済的土台を日々労働によって生み出している人々を上から支配する仕組みであって、そのメカニズムは国家の指導者が立てる政治方針のもとで資本家企業に雇用されて毎日働いていれば大過なく生活ができるという雰囲気とイデオロギーを生み出しそれに人々が支配されそれを乱さないような「法と秩序」によって規制されながら生きて行くようになっているのである。
  そして「自由と民主主義」にもとづいた選挙による「国民の総意のもとで」というふれ込みで国家の支配は進んでいく。そして対外的には競争相手の国の人々を互いに蔑視しさげすむ意識が醸成されその反面として「愛国心」が強調される。「アメリカ・ファースト」「ニッポンをとりもどす」「大中華帝国の再生」などなどである。
 そしていったん国家間の軍事的衝突が始まれば、たちまち「お国のために命をすてる」ことが名誉とされる雰囲気が充満することになるのである。そしていつも戦い死ぬのは互いに個人的には何の直接的恨みもない労働者同士なのである。
 この苦渋に満ちた歴史はすでに明治維新以後150年に渡って経験してきたのであるが、それにも拘わらずいままたそれが繰り返されようとしている。
  近代史的に見れば、それはつねに「グローバリズム」と「ナショナリズム」の対立という形をとるが、実はこの両者は裏と表の関係にある。つまり「同じ一つのもの」の両面なのである。この「一つのもの」とは資本主義的経済のメカニズムの上に築かれた「国家」のことであり、この資本主義的国家の目指す「グローバリズム」は世界市場ににおいて必ずその反面としてのナショナリズムを裏側にもっている。
  われわれが目指すべき真のグローバリズムはそのような矛盾の基礎全体を克服した先に開かれるインターナショナリズムであるといえるのではないだろうか。
 以下(その3)に続く。

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