« 2017年3月26日 - 2017年4月1日 | トップページ | 2017年4月9日 - 2017年4月15日 »

2017年4月2日 - 2017年4月8日

2017年4月 8日 (土)

閑話休題 シリア毒ガス攻撃を巡る「想定問答」その2

一方こちらはその一日前のダマスカスのアサッド大統領宮殿。

補佐官: 大統領閣下、さきほどイドリブ県で空爆により化学兵器が使われたというニュースがアメリカから入りました。
大統領: ん?イドリブ県は反政府側の拠点があるので空軍機での攻撃を命じたが、化学兵器を使う予定はなかったはずだ。そもそもこちらはいまロシア軍の協力で反政府側を圧倒しているので化学兵器を使って世界中から非難を浴びるようなリスクは必要ないのだ。
補佐官: しかし、イドリブ県には以前化学兵器を全面廃棄すると宣言しながら、いつか使うべき時が来たら使えるようにと密かに残しておいた化学兵器貯蔵庫があるのです。
大統領: 知っている。いまは反政府側の巣窟になってしまった場所だが病院の倉庫の中なので彼らにはまだ気付かれていないはずだ。。
補佐官: はい、ところでいま新しい情報が入りました。わが空軍機の攻撃の際、発射されたミサイル一発がその病院に着弾したそうです。
大統領: うーむ、誤爆か!
補佐官: いえ待ってください。いまもう一つ情報が入ってきました。攻撃したのはわが空軍機ではなくロシア機だったようです。
大統領: 何だと。
補佐官: しかも攻撃は真っ直ぐにその病院をめがけて行われたようであります。
大統領: なにー! それではそのロシア機はあそこに化学兵器があることを知っていたのか! それにしてもなぜそんなリスクを冒したのか?
補佐官: どちらにしてもわが軍が化学兵器を使ってはいないと発表しましょう。
大統領: むむむ....。
ーーーーーーーーーー
 さて話変わってこちらはクレムリンのプーチン大統領執務室。
補佐官: プーチン大統領閣下、さきほどアメリカ大統領からの秘密情報により密かに知らされたイドリブ県の化学兵器貯蔵庫を爆撃し成功しました。
大統領: そうかアサッドは驚いただろうな。それにしても反政府側はアメリカに漏らした彼らの情報がまさかこんな形で返ってくるとは夢にも思わなかっただろうな、気の毒に。
しかし対外的にはこれは反政府側の仕業か反政府側が貯蔵していた化学兵器貯蔵庫をシリア軍が誤爆したことにすればいい。
補佐官: はっ!
大統領: おそらくトランプはわれわれとの秘密裏の連携作戦がうまくいったとばかりにすぐに予定通り報復に出るだろう。そうなればアメリカ大統領と私の「蜜月関係」などという噂は消し飛ぶであろうし、お互いに相手を気にせずに振る舞えるようになる。そしてアメリカは北朝鮮問題で中国との緊張が高まるだろう。そうなれば私は中国と接近しやすくなり、この問題でまた世界の主導権を握れることになる。
トランプは作戦が成功したと思うだろうがオレの方が一枚も二枚も上手だろ、ウハハハ......。
補佐官: 御意!
-----もちろんこれもフィクションです。まさかこんなことはないでしょうけどね、多分......。
それにしてもこれと似たような政治の駆け引きやだまし合いで人々は殺し合い、そしてもっとも弱い子供たちが犠牲になっていくのである。真実などどこにあるのだろうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

閑話休題 シリア毒ガス攻撃を巡る「想定問答」その1

シリアでの無差別毒ガス攻撃があった直後のある一場面

大統領補佐官: 大統領閣下、シリアでのサリン作戦、成功でした。

大統領: そうか、うまくいったな。あれはアサッドの仕業と言うことでニュースが一斉に流れたな。

大統領補佐官: はい。
大統領: フェイクニュースも使い道次第だな。ではすぐに計画通り次の手を打て。予定通りわしは中国の首相との晩餐会に行く。
大統領補佐官: 閣下、分かりました。では計画通りティラーソン国務長官にも次の手を打つよう指示致します。
ーー中国首相との晩餐会の最中に大統領のもとに次のようなメモが届けられた。
補佐官からのメモ:予定通りシリア基地へのミサイル攻撃を実行しました。すべてうまくいきました。これで中国や北朝鮮への強烈な牽制にもなるし、プーチンとの腐れ縁も絶つことができます。そしてオバマ外交との明確な差別化もできます。
大統領はこれを読んでニタリと笑い、晩餐会が終わった直後に記者発表会見に臨んだ。
大統領発表: 一般市民そして小さな子供や赤ん坊にさえ毒ガスによる残忍な死を与える許しがたい攻撃がアサッド政権によって行われた。これに対してただちにわれわれはその出撃拠点となった基地にミサイル攻撃を行った。2度とこのような非人道的な攻撃をさせないための警告である。<以下ニュース参照>
そしてこのニュースは世界中で大々的に報道された。まもなく日本の安倍首相がこれを支持すると表明、そしてアメリカのクリントン元大統領候補もこれを支持した。
「国際社会の正義」のためであると。
-----もちろんこれはフィクションです。事実ではありません、多分......?
(その2に続く)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月 3日 (月)

Nスペ「爆問VSトランプ異例の経済政策で何が?」での問題

 昨夜のNスペ「爆問VSトランプ異例の経済政策で何が?」ではトランプの経済政策で今後世界経済はどうなっていくのかについて世界の識者の見解紹介や日本の若手気鋭のエリートたちが爆問の問いに答える形で展開された。

 若手エリート学者の見解はトランプの政策はかつて1930年代後半に行われたアメリカのニューディール政策(理論的にはケインズが基盤となった)と1980年代後半に行われたレーガン大統領による「レーガノミックス」(理論的にはフリードマンが基盤となった) の「いいとこ取り」をしたものだと言っていた。この考えに同席していた他のエリートたちもほぼ同意していたようだったが、それを「資本主義の危機」ととらえるか「チャンス」ととらえるかの違いがあった。フランスの社会学者マイケル・トッドなどは前者の立場であり、アメリカの識者では後者の立場の意見が紹介された。
 しかし、問題はニューディルがその直前にあった世界的金融恐慌に対する克服策としての「国家主導型」資本主義への軌道修正であり、その後第2次大戦で勝利し、このアメリカ式の国家主導資本主義が本格的に軌道に乗りイギリスなどもこれに従った戦後資本主義の再興期があり、その中で日本やドイツも経済成長を遂げたのであるが、その後1970年代になって、日本やドイツに追い上げられたアメリカ、イギリスでこうした国家主導型資本主義の矛盾が顕著になってアメリカの製造業が衰退をはじめ、イギリスでは「イギリス病」と言われる慢性的な不況が続いたあとで、その克服策として社会保障や軍備費などでの国家の負担増を減らし「自助努力」を旨とする「新自由主義」を旗印としたレーガノミックスやサッチャーの経済政策が行われたのである。
 そしてその後、「社会主義圏」崩壊で一人勝ちしたかに見えたアメリカがそれにも拘わらず経済的も軍事的にも失敗することでこの両方の「修正資本主義」が破綻したのが今日のアメリカであるといえるだろう。
 そうなればトランプの政策は「いいとこ取り」などではなく、単なる「寄せ集め」あるいは「つぎ当て」策としか言えないだろう。
 自由貿易主義はもともと財の私有とその商品としての売買の自由を旨とする資本主義の基本思想の上に世界市場を前提とした表現であり、この資本主義的「自由」が実は矛盾の根源でもあるのだが、オバマまでのアメリカ経済の理想は完全な「自由貿易」が世界資本主義経済の普遍的姿であり、国家はそこで生じる問題を調整する立場であるということであった。これは基本的に「新自由主義的」ともいえるが、一方でこの「新自由主義」だけでは社会保障や労働者の失業問題などは根本的には解決できず、そこに必然的に国家が介入せざるを得なくなる。オバマケア問題はこの矛盾に直面した。しかしそれにも拘わらず社会的格差は増大の一途をたどったのである。
 資本主義的「自由主義」と「国家介入」の両極を振り子のように動くのがいまの資本主義の姿であるといえるだろう。
 トランプはふたたび「国家介入」に振れたが、今度は「世界資本主義の先導者」としてではなく、「自国第一主義」であり、他国との摩擦も辞さないという強行な政策である。これはある意味でアメリカ弱体化の表れと言えるが、一方では強硬手段で国内労働者の雇用を増やすという意味で国内の失業者には受けが良いであろうが、他方で関税障壁など他国との摩擦を辞さないという政策でアメリカの国際貿易収支は悪化するだろう。
 なぜならその政策は相手国からの経済的「報復」を受けるだろうし、それを圧力によって押し返すなら国家間の政治的亀裂が生じ、国内の労働賃金の水準が高いがゆえに世界市場での「メイドインアメリカ」は競争に勝てず、どちらにしても貿易収支は悪化し、国内の経済も悪化することになり、一時的に失業を免れた労働者は再び失業することになるだろう。
  しかも今度は大規模な不況に襲われ、これが引き金となって世界資本主義経済は大恐慌に陥り、いよいよ末期的症状を呈することになるかもしれない。最悪の場合、各国で経済のゴリ押し政策をバックアップする軍備増強の競争となり「第3次世界大戦」もありうると思う。
 そうなる前にこうした「出口のない状態」の出口を見いだせるかが問題だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月 2日 (日)

内閣府世論調査の結果をどう考えるか?

 4月1日に内閣府・社会世論調査の結果が発表された。その主な内容は以下の通り。
 
  現在の社会に全体として「満足している」との回答が65・9%で、前回調査(平成28年2月)から3・9ポイント増加した。質問を始めた21年以降で最高となった。一方、「満足していない」は3・9ポイント減の33・3%で、過去最低だった。
 満足している点は「良質な生活環境」が43・2%で最も多く、「心身の健康が保たれる」(27・0%)、「向上心、向学心を伸ばしやすい」(17・8%)、「人と人が認め合い交流しやすい」(17・1%)、「働きやすい環境」(15・7%)などが続いた。反対に、満足していない理由のトップは「経済的なゆとりと見通しが持てない」(43・0%)だった。
 民意が国の政策に「反映されている」と思う人は、4・7ポイント増の34・6%で、過去最高水準に迫った。日本が良い方向に向かっていると思う分野では「医療・福祉」(31・4%)、「科学技術」(25・8%)、「治安」(22・0%)などが上位に挙がった。
 というわけであるが、これは18歳以上の人、1万人に面接方式で調査し、5993人から回答を得た結果だそうだ。つい先日世界「幸福度」ランキングで日本は51位、先進国で最下位だったという記事が新聞に出ていたばかりである。4月1日だからエイプリルフールの悪戯ではないかと思われた人も多いだろう。サンプリングは本当にランダムだったのだろうか?安倍首相を喜ばせる結果である。しかも森友学園問題などでさんざんマスコミに取り上げられていても安倍政権の支持率は下がっていない。これはどういうわけか?
 確かにいまの日本はシリアなど中東諸国の悲惨な現状からみれば「夢のような国」であるかもしれない。「安全・安心」が叫ばれ、「便利さ」が優先され、「サービス」が過剰なまでに演じられる社会である。日々の暮らしの中で特に深く悩んだり将来のことを心配したりしなければ、スルスルと毎日が過ぎて行くからだ。
 一方で子供の貧困が深刻化し、一人親の家庭は子供にまともな教育も与えられず、生活苦に喘いでいるし、非正規雇用やアルバイトで生活する若者たちは自分の存在意義に疑問を持ち、将来の不安を抱えながら結婚もする気が起きず日々鬱々として生活しているし、増え続ける高齢者が増えない介護予算や介護者の減少への不安を現実としながらも半分あきらめの境地で何とか日々生きていても、TVを観れば楽しい娯楽番組やスポーツなどで気を紛らわすことができるし、若者はスマホでゲームをしたり互いにおしゃべりし合っていれば気持ちも紛れる。
 マスコミ界ではどこでも「すばらしいニッポン」をテーマに日本の伝統的事物や習慣を称え、技術の素晴らしさを称え、外国人が日本を称えていることを伝える。そしてスポーツでも「がんばれニッポン」の大合唱が持ち上がる。私たちは「ニッポン」という良い国に生まれ育って良かったと思わせるための一大キャンペーンとして行われている。こうした雰囲気の中で「暗い面ばかり見ないで前向きに生きよう!」というメッセージがどんどん浸透する。
 それはそれで否定する気はないが、これがどういう背景や暗黙の意図のもとに行われているのかも問題だろう。わざわざこうした一大キャンペーンをしなければならないほどその反面の日本は深刻で未来を描けない暗い状態なのである。 この一大キャンペーンが行われる中で日本の本当の姿は見失われ、この深刻な状況に正面から取り組もうとする人が少なくなっていると思われる。その結果「現在の社会に満足」と考える人が増えているのだろう。
 ちなみにこの世論調査の後半ではこういう結果がでている。
 現在の社会に満足していない理由のトップは「経済的なゆとりと見通しが持てない」が43・0%だった。一方で「国を愛する気持ちが他人と比べ強い」と答えたのは55・9%、「弱い」が6・0%で、ともに横ばいだった。国を愛する気持ちを育てる必要があるかについて「そう思う」との回答は73・4%で、23年(81・0%)以降、6年連続の減少となった。
 「経済的なゆとりと見通しが持てない」43%の人は貧困層かそれに近い人々と考えれば、 「国を愛する気持ちが他人と比べて強い」と答えた55.9%の人の何割がそれに属するのだろうか?いずれにしてもその割合は減少しつつあるのだ。
どちらにしても「国を愛する気持ち」とその反面である他国や他民族を排斥したり低く見ることとの矛盾関係をどう克服するのか?そもそも「国」という抽象的概念とその国に暮らす一人一人の具体的人間の間にある巨大なギャップをどう考えるのか、といった大きな問題はどこかにぶっ飛んでしまっている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年3月26日 - 2017年4月1日 | トップページ | 2017年4月9日 - 2017年4月15日 »