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2017年4月9日 - 2017年4月15日

2017年4月14日 (金)

資本論を理解することの私なりの意味

 もう半世紀近く前の話ですが、私はかつて学生運動をやっていた友人に触発されて資本論を読み始めたのですが、第1巻まで読み終わったところで自分の生活状況の変化などからずっとその先を読まないままでいました。その間宇野弘蔵の経済原論や価値論などから多くの資本論研究の成果を学び、私なりにある程度理解が進んだ様に思っていました。しかし、その後いわゆる「社会主義圏」の崩壊、そしてアメリカを中心とした資本主義が世界を席巻することになり、それによって「(アメリカ的な)自由と民主主義」という社会観がいわば普遍化されていく中で、資本はグローバル化され続け、その矛盾がありとあらゆる場所で様々な形で噴出するのを見ていて、再び資本論をキチンと読み直そうと決心しました。

 ちょうど学生時代の先輩からある資本論購読会を紹介され、そこに加わりましたが、そのグループは宇野弘蔵のマルクス研究を評価せず、「俗流経済学者」と決めつけていたので、宇野経済学から多くのものを学んだ私には抵抗感がありましたが、資本論をキチンと理解しようとする真摯な姿勢に私は共感しまた。その会を通じて私は初めて難解な第2巻の前半部をなんとか読み終えることができました。これはおそらく自分一人では難しかっただろうと思っています。後半の再生産表式を巡る理論に関してはすでに一部読んでいたのと宇野経済学から学んだ知識もあるので、前半ほど難渋はしないで済むのではないかと思っています。そして第3巻までなんとか読み終わりたいと考えています。
 こうして資本論を読み進むことによって、マルクスの分析の科学的・論理的冷徹さをますます感じ始めました。これはいわゆる「選択肢としてのイデオロギーの一つ」などという範疇をはるかに超えて、自然史的レベルまでをも視野に入れた研究・分析だとわかります。しかもそれは単なる現実社会のへの「科学的理解」だけではなく、同時に人類社会の未来とはどのようなものであるべきかを指し示す社会科学的根拠をもたらす、実践の基盤になるものだと思います。これを安易な「理解」で歪曲したり、無視しようとすることは簡単でしょうが、そんな歪曲や無視はいずれ歴史からしっぺ返しを受けることになるでしょう。
 もちろんマルクスの研究成果をさらに発展させるための批判は必要で、それが生産的批判であるためには、現実社会が歴史の中でどのように展開されているのかをつぶさに見る必要があります。マルクスが死んで130年以上も経ち、激動の20世紀を超えて現在があります。この歴史過程の中でいま目の前で起きている矛盾に充ちた事実をどう理解するのか、そのとき、マルクスの研究成果が必要になり、しかもそれをできうる限り理解して自分のものにしているべきなのだと思います。
 そしてその理解された限りでの理論を武器として目の前の現実社会で起きている矛盾を分析し、問題の根拠と構造を解明し(現状分析として)、それを表明することがまず必要です。その上でそれを巡ってのディスカッションが必要で、こうした過程を経て、資本論への理解が進むと同時にその成果をさらに高いレベルに発展させることができ、私たちの目指すべき未来社会の姿が具体化されていくのだと思います。
 イデオロギーはこうした真摯なディスカッションを経た冷徹な論理・科学的理解のうえに築かれる思想としてあるべきであって、独断的な解釈やトップダウン的決めつけによる「イデオロギー主義」や、感性だけに訴えるどこかの宗教を信じることと同じではありません。
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 このような考えで私は不十分な理解と承知しながらこのブログ上で自分の分析や意見を表明してきましたし今後も続けていくつもりです。しかし知名度が低いブログであるせいか、読者からの批判やコメントが少なく、肝心のディスカッションはあまりできていません。その点は残念です。

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2017年4月12日 (水)

こんな安倍政権がなぜ支持率が高いのか?

 シリアでのサリン(トルコ保健相が確認している)を使った反政府側市民への攻撃で、80人以上が殺され、多くが子供であったという事件に、アメリカがすぐさまこれをアサド政権の仕業として、政府軍側の基地をミサイルで攻撃・報復した。この事件に関しては、分からないことが多く、前回と前々回の私のブログでも書いた様な「想定」もあり得るという情況の中で、安倍政権はただちにアメリカの行動を支持した。

 その後イタリアで行われたG7では岸田外相も参加したが、ほぼ全回一致で、アサド政権の非人道的攻撃とそれに加担しているロシアを非難する声明が発せられた。もちろんロシアはこれに鋭く反発し、G7が化学兵器がアサド政権による仕業と決めつけたことに反対し、アメリカのミサイル攻撃を「侵略行為」だと決めつけた。G7諸国はトランプ政権の政策を「忖度」したのだろうか?
 一方、同時進行している北朝鮮の核ミサイル開発とアメリカ、韓国、日本への挑発的行為に対して、アメリカは、このまま行けばアメリカを攻撃範囲にとらえる大陸間核ミサイルが開発されてしまうので、いまのうちに北朝鮮を軍事的にたたく必要があると判断し、中国に北への圧力をかけるようプレッシャーをかけ、中国が有効な手を打てなければアメリカ独自に行動すると脅しをかけている。
 これに対応してアメリカの空母か朝鮮海域に向かっているが、日本の海上自衛隊がこれに従って「訓練行動」をともにしている。
 こんな危機的状況の中で、安倍政権は、南スーダンを巡る稲田防衛大臣の不透明な行為やとてもシビリアン・コントロールとは思えない一方的な行為や発言を繰り返す防衛大臣を容認している。つまり安倍政権はいまの危機的世界情勢を客観的にとらえることができていないのである。
 他方で森友学園問題で明らかになった右翼偏向思想を教育するための学校建設への実質的な莫大な資金援助と政治力の行使を行い、それを政治家による指示ではなく監督官庁側の「忖度」と見るのかどうかなどを巡る国会でのゴタゴタの過程で、事実の言い逃れをしながらも、教育勅語を学校教科に持ち込むこと自体は否定しないという発表を行った。
  文科省は、道徳の教科書に口出し、教科書会社に「伝統的日本のよき道徳」を強要する。教科書会社は安倍政権の意向を「忖度」して文科省に受け入れられる内容にする。
 こうしていま暗黙のうちに子供たちや若者におおきな思想教育の圧力がかけられている。先日の政府側の世論調査で、いまの若者の半数以上が「いまの生活はそれなりに幸福だ」と感じているという結果を出した。政府側の思想教育の成果が上がってきたのかもしれない。
 こうした若者の「保守化」の背景にはオリンピックやスポーツの世界で「がんばれニッポン!」キャンペーンがマスコミを通じてこれでもかこれでもかと行われており、「国民意識の向上」が図られていることも大きい。若者たちに「ニッポンはこんなに素晴らしい国だ!」という意識をどんどん植え付け、いまの日本が置かれているその真実の姿を見ようとしない雰囲気を作り出している。
 やがてこうした思想や「空気」のもとで育った若者たちは、いったん危機あらば、「祖国のために喜んで命を捧げます!」と進んで戦争に加わる兵士になっていくのかもしれない。
  「お国のため」という精神の吹き込みは、「自分という主体」を無にすることによって「自分」と同じような主体である他民族や他国の人々を殺しても良いという意識に置き換えさせてしまう、恐ろしい「洗脳」なのである。
 私を含めてあの戦争の時代を知っている人たちも残り少なくなってきたいま、若者たちにこの事実を分かってほしい。そして安倍政権のおそるべき欺瞞制を理解してほしい。

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