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2017年2月12日 - 2017年2月18日

2017年2月13日 (月)

NHKスペシャル「隠れた貧困」を観て

昨夜 NHK-TV「NHKスペシャル」で隠れた貧困の実態について放映されていた。

 日本の6人に1人が貧困層(家族月収が20万円以下)に該当するという事実、そして特に子供達にその危機的状況が集約されているにも拘わらず、これが表面化していないという現実である。
 多いのは母子家庭や父子家庭での例である。親が非正規雇用の仕事で複数の職場を掛け持ちで懸命に生活費を稼いでも子供達の食事代や衣料費もろくに賄えず、子供は塾に行くオカネもなく、親が夜遅くまで働きに出ているために家事を子供が行い、子供達だけで食事を摂り、親との接触の時間もろくに持てないということだ。また子供が中学以上の場合は生計を助けるためにアルバイトに出ることが多く、高校生ではアルバイトをしている生徒が全体の半数以上にもなる。そして高校を卒業して職業を身につけようと専門学校に入学しようとしてもその入学金が高額であるため、これもあきらめねばならなくなる。貧困が貧困を生んでいく。
 そしてさらに深刻なのは、こうして親たちの苦労を知り、それをなんとか助けよう子供達も懸命に頑張るが、生活状況は少しも改善されず、その結果こうした状況に対して絶望感が深く静かに浸透して行っているということだ。
 ある県の高校での学生へのアンケートによれば、こうした貧困層に属する学生達の多くは、将来への希望など持てず、自分の存在意義にすら自信を持てなくなり無力感に陥っている。
 やがてこうした子供達が大人になっていっても家庭を持つことに意欲を失い、孤独で貧困な生活を送る可能性が高い。そしてたとえ子供を持ってもその子供達も親と同じく貧困と絶望感絶望感の中で生きねばならなくなる可能性が高い。本当に悲惨な現実である。
 「Nスペ」ではこれを貧困の「負のスパイラル」と言っていたが、それがあまり遠くない将来に社会的には41兆円もの損失をもたらすと言っていた。
 この「41兆円の損失」とはいったい何を意味するのか?誰が損失するのか?41兆円とはどこから出てくる数値なのか?もちろん経済的に何らかの計算根拠がある数値なのだろうが、貧困が社会の損失になるという考え方自体がおかしいのではないか?
 貧困層の子供達が大人になって、もし「立派な労働力商品」になれれば、大資本に雇用されそこで働き、剰余価値を無償で与えることで企業の利潤を上げ、その賃金で商品をたくさん購入でき、商品市場でも企業に利益をもたらしてくれるだろうが、もしこの子たちが貧しい生活を強いられれば、労働力としての質も落ち、生活資料への購買力も落ち、商品市場での企業利益が減り、企業からの税収が減るので社会保障費などに政府の税負担が増大するとでもいう意味なのだろうか?
 要は、こうではないのか?
こうした貧困がなぜ増えていくのか? なぜそれに対していわゆる中間層や富裕層は無関心なのか?そしてなによりも社会全体の在り様に責任がある政府がなぜこの問題を最優先課題として取り組もうとしないのか?
 社会は誰のためにあるのか?誰が社会を支えているのか?なぜ「経済成長」のためにこうした人々が犠牲にならねばならないのか?
 それは「41兆円の損失」などという問題ではなく人間そのものの喪失なのではないのか?

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2017年2月12日 (日)

「雇用創出」という資本による錦の御旗に騙されるな

 安倍首相とトランプの会談が持たれた。「日本のクルマがアメリカで多数販売されているのにアメリカのクルマは日本であまり販売されない、不公平だ!」「多額の軍事費を掛けて日本を護ってやってるのに日本はそれに見合ったカネをだしていない!」と叫ぶトランプに、安倍首相は「日本の自動車メーカーはアメリカで雇用の創出に貢献しておりこれからそれをもっと増やす」「尖閣諸島を安全保障条約の範囲に含めないと日中間の危機が強まる」と主張し、トランプはこれまでのツイッターでの鋭い揶揄を引っ込め官僚が書いたペーパーを読み、尖閣は安保の枠内に含めることをあきらかにし、両国間の貿易自由化を基本として日米の信頼関係はいっそう強める必要があると安倍に応えた。

 その後ゴルフ場でどんな密約が交わされたのかは知るよしもなく、そのさなかに北朝鮮がミサイルを発射したなどという「おまけ」もついたが、マスコミはこの会談を「安倍外交のホームラン」と称えている。
 ここでマスコミでは決して取り上げられることのない視点で考えてみよう。
  「雇用の創出」を錦の御旗として掲げてきたトランプの考えのもとで起きる現実は、グローバル化した日本企業のもとで労働力を売って生活しなければならないアメリカの労働者を増やすということだ。つまりアメリカの労働者が日本を拠点とする資本にその労働を搾取されるということだ。
 もちろんアメリカ資本はとっくに諸外国でその国の労働者の労働を搾取してきているが、その場合、その搾取される労働者の住む国の賃金水準が低いということが前提にあった。しかし、今度はこれまで圧倒的に賃金水準の高い国であったアメリカの労働者を日本というそれまでは賃金水準がアメリカより低いと見なされてきた国の資本が搾取することになったのだ。
 これはあくまで「政治的配慮」であって、国際市場での不利を承知で実際にはもっと別の手段で利益を上げるという考えを日本企業と安倍首相は持っているのかもしれないが、まともに考えれば、アメリカの労働者階級は日本の労働者と同水準かそれ以下の賃金で我慢しなければならないほど苦しい立場に立たされているのか、あるいはそれによって高額になるであろうクルマを買わされても"made in USA"であれば文句が言えないと考えているのかである。
  かつてアメリカ資本が圧倒的に優位であった時代にそこに雇用されて高給を得てクルマの「消費者」(購買者)としても資本の成長に奉仕してきたアメリカの労働者達は、いまではその雇用者に見捨てられ、日々苦しい生活を営んでいる。もちろん日本企業の労働者達もいつ同じ目に遭うか分からない。
 どちらにせよ、労働者は資本による雇用の機会を奪われては生きて行けないのが資本主義社会の「原理」であって、その真実が「雇用創出」への渇望となって現れる。
  しかし、もう少し深く考えてみれば、なぜ自分たちの手で自分たちに必要な生活資料をつくり出すことができないのか?という率直な疑問が生じる。その事実こそが問題なのだ。
  なぜ資本家企業に自分の労働力を売り渡し(つまり雇用され)、資本家の目的意識を達成させるために働き、それによって生活費をもらって生活しなければ生きて行けないのか?なぜそこでの労働は自分たちの目的を達成させるために必要なモノを直接生みだすのではなく、雇用者である資本家達に利益を得させることを目的に彼や彼のブレーン達が考え出した商品を作らされるのか? なぜ高級そうなデザインやイメージを持つが実際にはたいして性能が良くないモノを毎日8時間以上も働いて生みださねばならないのか?
 そしてなぜ雇用者たちはこうして「消費拡大」のために必要もないモノを次々と生みだし、そのために貴重な地球資源を使い果たし、環境汚染をもたらしているのか?労働者達はなぜもらった賃金を、それを買うために使い果たし、しかもそこから「消費税」なども取られるのか? なぜ、政府はこんな馬鹿げた状態を尻押しし、「経済成長」のためなどとウソをつくのか?などなどである。
 資本家達が市場での競争に勝ち利益を獲得するためにモノをつくるのではなく、われわれが必要なモノはわれわれ自身の手でつくり、必要なモノを必要なだけ生みだせば良い社会を実現しなければ、いつかは人類は滅びてしまうだろう。そのためには資本家など必要であるはずもなく、そんな連中に雇用されねば生きていけない社会など求めてはいけないのではないか。

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