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2018年3月22日 (木)

「過剰資本の不生産的処理」を巡るディスカッション(3)修正版

 前回のY.Sさんからの指摘を読み直してみて、それに対する私の回答は必ずしもY.Sさんが指摘された問題への適切な対応ではなかったと反省している。Y.Sさんの指摘で重要と思われる要点を改めて列挙すれば以下の点ではないかと思われる。

(1)私が提起した「過剰資本の不生産的処理」の方法としての労働賃金への資本家の剰余価値の一部の追加(私はこれをvmとした)があるとすれば、資本家はそれに投資する際に利潤率が下がるにも拘わらずそのようなことをするのか?
(2)労働賃金の高低の差は、その労働力の養成費と労働力商品の市場価格として高低差(人手不足なら賃金が上がる)なのであって、それ以外の何物でもないのではないか?
(3)労働者へのサービス産業はある意味で消費生活の社会化なのではないか?
(4)ファミレス、居酒屋などに関してそこに資本が参入するのは労働者の需要がある以上否定できないのではないか?
 そしてY.Sさんの指摘には直接はなかったが、その指摘の背景にある疑問、つまり実際に資本家に利潤を生み出している以上、それを「不生産的処理」と言えるのか?という疑問があるように思われる。
 これらについてもう一度キチンとした答えが必要であると考えるが、いずれもかなり高度な問題であって、私の提起が基本的に誤りであるかどうかを含めてもう少し検討したいと思う。
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 そこでその前にまず、先日「資本論を読む会」でM.Mさんからもらった資料(越村信三郎著「図解資本論」の一部と大谷禎之介著「図解社会経済学」の一部 )を読み、そこに書かれてあるマルクスの拡大再生産論に関する指摘などを改めて読み直してみた。
 マルクスが資本の蓄積が始まり社会的総資本の拡大再生産が進むための必要条件について述べられており、それは生産力が高まり、資本構成(c/v)が高度化しても過剰資本を生み出さずに社会的に拡大再生産を進めるためには、I(v+v'+m')=II(c+c')という均衡が保たれなければならないということが指摘されている(ここでv'は蓄積された資本のうちからv部分に追加された部分でありm'は資本家の利潤に追加された部分、c'は生産手段に追加された部分である。)。つまり I(v+m)>IIcという拡大再生産の表式は I(v+v'+m')=II(c+c')が成り立たないと破綻なく進まないということであり、蓄積された資本のうち再生産に投じられる追加部分の各部門への価値構成は、単純再生産の条件である I(v'+m')=IIc'を充たさなければならないということであると私は理解した。
 もしこの均衡が崩れればそこには資本の過剰が生じ、恐慌というリスクが待ち構えていると考えて良いだろう。もちろん恐慌が何故起きるのか、に関しては単に過剰な生産物だけが原因ではなくもっと様々な要素が考えられなければならないのであるが、それについてはここでは触れないことにする。
 とりあえず、このようなマルクスの指摘については私の指摘の中では触れてこなかったし、それへの曖昧で即時的な認識が「vmのvへの追加」という言い方になっていたように思う。Y.S さんの指摘の(1)に関しては、この辺の私の認識の浅ささがあったように思う。
 要はこれが直ちに「過剰資本の不生産的処理」とは言えないということであって、
この追加資本がI(v'+m')=IIc'という関係を保ちながら社会的総資本がI(v+m)>IIcを実現しえなくなった時に過剰資本が生じ、それが資本主義体制全体を圧迫しその拡大を妨げるようになったときに、初めてこれを「不生産的に処理」する必要が出てきたということである。
 この辺は今少し深く考えてみないといけない問題なので、少し時間を頂きたいと思う。しかし
これに対する異論や反論がその前にあれば、 もちろん ウエルカムである。
(アンダーライン部分を修正)

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