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2018年3月13日 (火)

過剰資本の「不生産的処理」で維持される資本主義体制のもたらす諸結果(3)

 このような社会形態が現代資本主義体制のもたらした結果であることはいうまでもないが、さらに最後に、この過剰資本の不生産的処理のもう一つの典型としての軍需産業について考えてみよう。

 軍需産業はいうまでもなく、その生産物である武器や兵器は文字通り破壊と殺戮のための道具であり、戦争で大量に消費されるだけで何ら生産的な要素をもっていない。そしてこれらの武器や兵器は、つねに「お国を護るため」と称して大量にしかも「合法的に」生み出されるのである。そして過剰資本が常態化したいまの資本主義経済体制にとってはそれが格好の過剰資本の処理方法なのである。

 こうした武器・兵器などを製造販売するのは現代資本主義社会の巨大産業であるが、かつて東西冷戦を背景にアメリカでは国家予算の1割を超えるほどの軍事予算が組まれ、核戦争に備えた最先端兵器の開発が進められた。そこで核ミサイルや水爆などの技術が開発され、ソ連のそれに並ぶ核兵器とともに一旦戦争ともなれば人類のほとんどすべてが消滅する危機に立たされた。これは一方の資本主義社会にとっては巨大な過剰資本の処理形態であり、国家統制経済下のソ連でも高度な軍事技術産業による経済的効果と労働力の配分先の確保に不可欠となった。

 しかし実際に核戦争を起こすことは両陣営にとっても不利であるため、ありあまるその軍事力は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸・イラク・アフガン戦争などで大量に用いられ、多くのこれらの国々の労働者・農民たちの命はいうまでもなくアメリカの若者達の命をも奪ってきたのである。

 もちろんアメリカでも軍需産業の生み出した新技術がその後、民生機器や生活消費財に応用され次々と新しい家電製品や通信機器などを生み出していくことで、例の「大量消費社会」での過剰資本の処理にも大きく寄与していた。

 その後ソ連が崩壊し、「資本主義の一人勝ち」と言われる状況がやってきて、資本が急速にグローバル化して行った状況で、アメリカの一極集中力が衰え始め世界市場を駆け巡る過剰流動資本が世界中で安い労働力を奪い合うようになった中で、さまざまな形で再びいわゆる先進資本主義諸国で軍事産業に活況を与えることになっていった。

 それは21世紀になって、水面下で進むアメリカ・ロシア・中国・EU・日本などの間で起きつつある巨大資本同士の確執が関係した民族・宗教対立などでの武力衝突が活発になったことが背景にある。こうした民族・宗教紛争は実は世界中で激しくなりつつある労働者への搾取や圧迫に対する闘争の別の形での現れでもある。

 そうした紛争で用いられる武器や兵器は主としてアメリカ、ロシア、フランス、中国、イスラエルなどで作られている。中でもフランスはいまや世界第2位の兵器輸出国である(中国と2位の座を争っているが)。「共和国前進」を舞台に登場したマクロン大統領はかつてのナポレオン閣下よろしく盛大な栄誉礼がお好きであり、表面的にはドイツとともにEUの盟主として「リベラル派」の「顔」のように見えるが、その手はイエメンで殺戮を繰り返すサウジアラビアや、中国との対立やパキスタンとの国境紛争などで戦闘機が必要なインドへの武器輸出で血塗られている。その兵器輸出から上がる収益はフランスの国家財政を大きく潤している。

 またプーチン率いるロシアはかつてのKGBの組織を活用してアメリカの内政に情報戦でちょっかいを出したり、自分の政敵を毒薬で暗殺することを常套手段としているようだが、シリアでいまなお行われているアサドらによる虐殺に武器の売り込みで全面的に支援している。毎日何十人も殺される小さな子供達はその最大の犠牲者である。そしてロシアはそれによって莫大な利益を得ているのである。

 そして中国は独特な一党独裁による国家統制型資本主義体制で急速に成長し、「一帯一路」政策による世界資本への支配権確立が目指され、それを実施するための軍事的防衛線が築かれつつある。いわゆる「海のシルクロード」はインドを取り囲むように設置され、そこに中国の軍事基地が設けられつつある。そこにもインドの軍事力拡大のモチベーションがあるのだ。

 そして日本の安倍政権はこれらをにらみつつ、アメリカを後ろ盾にして自国の軍事力を高めることを画策している。かつての「ものづくり立国」時代の技術がまだ生き残っていれば、やがては日本でも「経済活性化」のためとして軍需産業が復活するだろう、いやもう復活しつつあるかもしれない。

 こうして現代資本主義体制に不可欠となったこの「過剰資本の不生産的処理」は他方で社会全体を支えている労働者階級に莫大な犠牲を強いつつますます拡大しているのである。

以上

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