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2018年9月20日 (木)

地球規模で拡大する格差社会と大量の難民

 こうした「格差」は日本だけではなく国と国との間でも起きている。いまヨーロッパやアメリカでは中東やアフリカ、そして中米などの国々から大量に流れ込む移民で社会が混乱している。

 ヨーロッパでは東西冷戦終焉後EU圏の拡大で国境が低くなり人々やモノの国境を越えた移動がしやすくなった。そして西ヨーロッパの高度消費社会化した国での労働力不足を補うためトルコや東欧などから多くの人々が西に移り住んだ。これはいわば「許容範囲」であったが、シリア内戦などを機に中東やアフリカから大量の貧困化した難民が流れ込んでくると、EU全体でこれに危機感を持つ国が増え、自国の生活様式や雇用を守るため難民を阻止しようとする動きが急速に拡大した。
 アメリカではかつて世界一の生活水準を誇った自国で高賃金化した生活になじんだ白人労働者たちが、いまその賃金水準ゆえに雇用にありつけなくなり、貧困化していく状況にあって、トランプ大統領が自国の雇用を守るためと称して低賃金でも働く移民労働者の入国を厳しく規制するようになった。
 こうした動きの背景には、東西冷戦後、世界中に進出拡大したグローバル資本がまだ高度に資本主義化されていない国々で、生活資料への出費が少なくても生活できることを理由に労働者を低賃金で雇用し、そこで作り出した生活資料商品を割安で高度資本主義諸国相手の市場に投入することで莫大な利益をあげるようになったことがある。
 こうしたグローバル企業は最初は低賃金労働の確保に走ったが、その結果大量に生み出されたそれらの国々の賃金労働者たちが資本家のもとで生み出した生活資料を購入して生活するようになり、賃金労働者としての均一化した生活のパターンに組み込まれていくようになると、そこを新たな生活資料商品の市場として活用するようになる。
 これまで非資本主義的な国々でその地域社会独自の伝統的生活スタイルで生活していた人々が、オカネがなければ生活して行けない資本主義的生活様式に組み込まれていったのである。そのためそれらの国々の人々はグローバルに均一化された資本主義的生活様式での水準で測られるようになり、グローバルに「貧困化」が可視化されるようになったのである。それによって同じ労働を行っても賃金が何十倍も違う国があるという現実を人々が知るようになったのだ。つまり国際的な格差の現実化である。
 そこに紛争による生命の危機と生活の破壊がやってきて、それらの人々はまともな生活を求めてヨーロッパ諸国にどっと逃れ出ることになったと思われる。
 つまり、高度化した消費主導型資本主義国の内部で拡大した「格差」が生んだ貧困層と、世界レベルで生み出された格差が顕在化させた貧困国の人々との間で「労働力商品」どうしの競争状態を生み出しつつあるといえる。
 本来同じ立場にあって貧困化させられた人々が互いに生活を守るために競争し合い対立し合っているのである。これこそ世界を実質的に支配しこれらの貧困層を生み出してきた張本人であるグローバル資本にとってその事実を覆い隠すにはまことに好都合な状況なのである。
 この問題はおそらく今後より深刻さを増し、国際的生活水準の差と労働力の価格の差がなぜ生じるのかという問題は国々の格差をなくそうとする動きにつながっていくのではないかと思われる。いまこそ「万国の労働者団結せよ!」という言葉がリアルで喫緊な意味を持つのではないだろうか?
 

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