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2018年10月 9日 (火)

朝日新聞"GLOBE"特集での問題:GAFAの支配と民主主義の危機

(前回からの続き)

  この「テクノロジーの世紀」では、主としてAIやIT技術の急速な発展がわれわれに何をもたらすのかという不安と期待の入り交じった現代の人々の意識に応える内容を意図したのかもしれないが、ある意味で雑然とした問題提起にしかなっていないように見える。
 7つのテーマの中で、「フェイスブックは民主主義を壊すのか」と「中国はデータで世界を征するのか」そして「GAFAの支配は続くのか」はともに関係がある問題のように思える。
  「民主的ツール」のはずだったSNSが政治的独裁国家では人々の個人データや政治的意思表明の内容を支配しコントロールしつつあるという皮肉な事態は、「民主主義」を標榜する国でも巨大IT企業による情報の中央集権化が進んでいることへの危機感と同様の問題を含んでいるように見える。「GAFAの支配は続くのか」 ではSNSやIT通販企業などの巨大資本が人々の個人情報や意思表明にまで踏み込みこれを独占することになる事態を警告している。 これに対する対応としてEUの「一般データ保護規則」の導入やキャシー・オニールによる企業へのデータ管理とアルゴリズムの監査の提案が挙げられているが、それはおそらく「対象療法」でしかないだろう。
  そこではSNSというツールがもっている、瞬時に単純で「わかりやすい」つまり思慮の浅い判断結果を拡散させ、それに従う人々を増やすことで、「大衆の愚昧化」と同時にそれを用いて「大衆追随的発言」という形で世論の操作をするという、現代民主主義のもっとも危険な側面を促進する性質が問題となる。
  そしてこれは「データの民主化・共有化」とそれを「人々の深い思考」のための手段とするというあらたな課題を提起しているように見える。
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(続く)

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