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2018年8月26日 - 2018年9月1日

2018年8月31日 (金)

アメリカ的ボトムアップ社会対中国的トップダウン社会の対決なのか?

 2008年の金融危機で明白となった新自由主義的市場経済の矛盾、つまり借金をさせてまでどんどん消費を増やし、それによって「自由市場」の主人公である金融資本が信用破綻を来して危機に陥るという形で典型的に現れている矛盾は、その後アメリカを中心とした世界資本主義経済秩序を混乱に陥れていった。

  アメリカではオバマ大統領が「リベラル派」と言われる有色人種の多い下層中間層や西岸地帯のIT関連新興資本家たちを中心としたグループの支持を得てこの危機を乗り切ろうとしたが共和党の反撃にあって頓挫し、日本ではこの不況に乗じて民主党が政権を取ったが、その後、その政策のいい加減さが東日本大震災によって白日に晒され、自民公明政権に取って代わられた。この混乱は「民主政治」の特徴であるともいえる。
 一方で中国は着々と混乱の少ない一党独裁のトップダウン政権の強化が図られ、効率の悪い「民主政治」と異なるトップダウン経済体制が進められた。
 しかしここでアメリカ的「自由主義」がボトムアップで、中国式一党独裁政治がトップダウンであるという単純な図式を考えるのは早計である。
 アメリカや日本などのいわゆる「民主主義政治」では、人々は単に投票で代議員を選んでその代議員たちが所属する政党同士の数の多さで議会での決定を出すというスタイルで法律が決められ、それに従って官僚たちがその法律を執行していくという形を採っており、これが本来のボトムアップではないことは確かである。
  代議員の所属する政党は多額の政治資金を企業から受け取り、国の経済的基盤を形成している大資本企業の存続発展を前提として「国民経済」を考える。そこでの「革新派」と「保守派」の論争や意見の違いは、すべてこの前提の上で成され、相互補完的関係にある。そしてこれらの政策や法律を実行する官僚や公務員はエリートたちである。そこではその社会で働き現場で社会を支えている人々の考え方や要求はこの前提を崩さない限りでしか受け入れられない。言い換えれば労働者民主主義ではなく大資本民主主義なのである。だからこれらの国々では働く人たちの自殺者は増加しつづけ、結婚して子どもを持つ動機が失われ、社会の未来に希望を描けない状態になっている。これは決して本来のボトムアップ社会ではない!
 一方で中国の様な一党独裁制をとる「社会主義国」での政治はまさしくトップダウンであるが、その経済基盤は資本主義市場経済そのものである。ここではアメリカ、ヨーロッパ、日本などの大資本からどんどん投資させその資本で安い労働賃金のもとでどんどん利潤を増やし、経済は成長する。やがてそれらの利潤は中国内から新たな資本家を育て上げ、その中国資本がやがて世界市場を席巻するような大資本になっていった。この間わずか四半世紀のことであり非常に効率の高い資本主義経済体制である。いわば「超国家独占資本主義」ともいうべき体制であろう。ここでは西欧の大資本自由経済を効率よく取り込み中国資本がやがて世界資本主義市場を制覇し、政治的にも「オカネ」に物を言わせて世界制覇を狙おうという様相である。
 しかしこのおそるべき「超国家独占資本主義」体制の「社会主義国」で働く労働者や農民は資本主義社会よりも過酷な状況に置かれている。「労働者農自身による政治(人民民主主義)」を看板としたこの国でこの有様である。本来ボトムアップであるはずの社会で超トップダウンの政治経済が行われているのである!
 いまや「ポピュリズム」がこれらの矛盾に対抗する一大勢力になりつつあるが、「ポピュリズム」で自国第1主義を叫ぶ人々が忘れている重大な事実がある。それは世界が「グローバル経済化」したいま、世界中の国々で働いて世界中の人々に必要なモノを生み出している労働者がいなければ自国の経済は成り立たず、分断された国々では生活に必要なモノも手に入らなくなるということだ。
 本当のボトムアップ社会はいまや世界レベルでのこうした働く人々の連携なしにはあり得ない。
「万国の労働者団結せよ!」 ポピュリストたちはそのことをキモに銘じておくべきだろう。

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