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2020年5月

2020年5月19日 (火)

コロナ禍で「世界の工場」中国で失業者7000万?

 NHK-BSでの国際ニュースによれば、中国ではコロナウイルスによる世界的経済不況の影響で「世界の工場」と言われる深圳市を中心とした工業地帯で労働者の雇用が激減し、ロックダウンの解かれた湖北省から大量の労働者が職を求めてやってきたが、有名な「三和人材市場」は閉鎖され、職にありつけず、寝るところもなくなった労働者たちが今度は大挙して湖北省に戻ることになり帰省バスが大混雑しているらしい。一説によると中国全土での失業者数はすでに7000万人に達しているとも言われている。

 「労働者・農民の政府による社会主義国」を旗印とした中国で、30年ほど前にそれまでの経済政策の失敗から立ち直るために、鄧小平によって「社会主義市場経済」が導入され、「豊かになれる者から豊かになればよい」というかけ声のもとで、「カネを儲けてリッチになりたい」という私的所有欲を駆り立て、それをエネルギーとしてもっとも本質的な資本主義的矛盾である「賃労働と資本」という生産関係を復活させ、資本主義経済体制への道を突っ走ってきた。そしてわずか1/4世紀後には世界第2位の「経済大国」となったのであるが、それはその道の選択による必然的結果として、いま資本主義的矛盾のまっただ中に置かれている。

 中国は、その共産党一党独裁体制という強力なトップダウン統治システムによって、すでに腐朽段階にあった欧米資本主義経済体制を巻き込み、それに「活」を入れることで、グローバル資本という巨大な資本の流れを生みだし、資本主義諸国からの莫大な投資を呼び込み、自国の資本家階級を育成し、大量の労働者・農民をそこに労働力として雇用させた。党と資本家階級が結びついた政府指導部は、それによって莫大な国家予算を組むことが可能となり、国家主導でインフラ投資や軍事力への投資および輸出を行っている。いまや中国は経済的にも軍事的にも世界覇権を狙っているようだ。

 かつての資本主義体制側の覇権国だったアメリカは中国の安い労働力と巨大な市場を利用することによってその経済体制を維持し、見かけ上の発展をしてきたが、事実上中国なしにはアメリカ経済は成り立たなくなっている。ここにきてトランプは、その脅威に気づき初め、「アメリカ・ファースト」を看板に中国を非難し続けている。今回のコロナ禍においてもWHOが中国寄りだと激しく非難し、世界中が連帯してこの危機を乗り越える必要があるときに、逆の方向を向いている。

 しかし、中国においても経済危機は深刻であって、これまでは経済的に発展してきたために労働者や農民の不満がそれに吸収されて埋もれてしまってきたが、いまや急速に世界中が大不況の大波に巻き込まれつつあり、グローバルな資本の流れは行き詰まっている。そのため中国の労働者は今後も行き場がなくなるかもしれないのである。労働者・農民のための国であるはずの中国で、なぜ資本家階級が共産党政府指導部と結びつき、労働者・農民が失業や貧困に苦ししまなければならないのか?いまこそ彼らは自分達が本当の主人公であるべきだという正当な階級意識を持ち始めているのではないだろうか。

 

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2020年5月14日 (木)

「コロナ禍」で現れた資本主義経済体制の矛盾

 いま世界はCOVID-19のパンデミックで大変な状況になっているが、どの国でも感染拡大阻止のための「ロックダウン」や行動制限を実行している。しかしその反面でそれを続けることによる経済状態の急速な悪化が深刻になっている。この感染阻止と経済活動維持はトレードオフ関係なのである。

 これに対して感染者が増加していてもその増加率がある程度低下すれば、少しづつ経済活動を再開して行かざるを得ないと判断している国が多いが、その先には再び爆発的感染拡大が待っているかも知れない。もしそうなれば再び行動制限を実施せざるを得なくなるだろう。まして現在の様な労働市場やサプライチェーンが網の目の様に絡み合っているグローバル資本主義経済にあっては、グローバル市場体制の「全面開放」がなければ致命的打撃になりそうだ。そのためグローバル市場に組み込まれて資本主義経済体制をコントロールしている各国政府がジレンマに陥っているのだ。

 例えばアメリカはいま百数十万単位での感染者があり、日々数千〜一万人以上増加している。桁違いに感染者と死者が多い国でありながら「経済活動を再開する」とトランプが息巻いている。その背景には倒産や不況で従業員を解雇する企業が急増し、こうした企業経営者と失業したり賃金カットされて生活が成り立たなくなった労働者たちが共に「経済開放を!」の大合唱をしているからである。しかしもし経済活動を全面解放すれば、感染者数はさらに増加率を増し、すでに医療崩壊しているため死者が爆発的に増加するだろう。死者の大半は貧困層や高齢者であるため、おそらくトランプの頭の中では「社会にとって働き手として役に立たず足手まといとなるような連中は死んでも仕方ないだろう、これも自然淘汰の流れだ」という思いがあるのではないだろうか。ブラジルのボルソナロもそしてロシアのプーチンも同様だ。

 こうした状況は、一方で「エッセンシャルワーカー」の存在を浮き彫りにした。どんな状況にあっても社会生活を維持して行くためには、生活消費財の生産と流通の維持、そして社会インフラを維持して行くために働く労働者が必須である。そして今度のような感染症大流行の場合は医療従事者も必須の労働者である。こうした「エッセンシャルワーカーズ」はどんなに感染者が増えても維持しなければならない。しかし医師を除いてはこうした労働に従事する労働者は低賃金労働で働き、コロナに感染して職場から隔離されればたちまち生活困難に陥る。彼らの多くは非正規雇用や外国籍労働者など不安定な労働条件のもとに置かれているからだ。また生活資料の多くは低賃金労働諸国で生産された商品として輸入に頼っている。国境が封鎖されればこれらの生活資料は入ってこなくなる。国内で備蓄された分がなくなればたちまち生活資料は不足する。医療機器も同様である。不足した生活必需品は品不足で入手困難となり、たまたま入手できても驚くほど高価になり低所得者には買えなくなる。そしてこれらの生活必需品や医療機器を生産している国ではその生産企業が売れ行き不振に陥り従業員の賃金カットや失業が増加することにもなるだろう。

 いま考えねばならないことは、「社会生活を支えるために必要な労働を行っている労働者たちが、なぜ「経済的不況」を根拠に職を失ったり賃金をカットされ生活できなくなるのか?」という問題だ。労働者はいったい誰のために働いているのか?「経済」はいったい誰のためにあるのか?

 すべての生活必需品が資本家企業で生産され、その商品も流通業資本家企業によって流通され、商業資本企業の商店やスーパーによって販売され、それらすべての過程でそれぞれの資本に利潤を生みだすことで彼らが労働力を買い(賃金を払って労働者を雇い)、労働賃金分を「人件費」という項目の生産費用として計算しながらできうる限り人件費分を削減しながらその利潤を維持拡大することで資本主義経済は回っているのである。しかも実際はそれら利潤の源泉である価値はすべてそれらの資本家企業で働く従業員の労働が生みだす価値によっているのである。

 つまりエッセンシャルワーカーズの労働は社会にとって必須であることを理由にそれが資本家企業の利潤を生みだすもっとも確実な手段として用いられているのである。要するに社会的必要労働の目的と手段の関係が完全に逆転しているのである。

 どう考えてもおかしいでないか!しかしこれが資本主義経済の基本論理なのだ。

 

 

 

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