経済・政治・国際

2017年6月23日 (金)

現代の「既得権階級」とは何だろう?(その2)

 いまの資本主義社会は資本家階級の支配のもとで労働者階級がその労働を搾取されているという基本的形態が厳然として維持されながら、外見的には支配階級が誰なのか、そして被支配階級が誰なのかがきわめて見えにくくなっている社会である。

 前回に述べたように、いわゆる「リベラル派」の大半が実は実質的には資本家階級であったり、ゴリゴリの独裁的国家主義・民族主義者を支持している人の多くが労働者階級であったりするのである。
 つまり社会の実質的支配・被支配関係が多くの場合、虚偽のイデオロギーによって隠蔽されているといってもよいだろう。そして教養と社会常識に充ちたインテリ(いわゆる有識者)の見解が支配階級のイデオロギーを代弁することになるのである。だから被支配階級のそれに対する違和感や反感がときには極右・民族主義など過激なイデオロギーに代弁されたりすることにもなる。
 例えば、次の様な一般的には「社会常識」と言われる考え方の中に実は支配階級のイデオロギーが表れている。
(1)社会の中で自分が努力して築き上げた財産を私有することは当然であり、これに高い税金をかけるのは間違っている。
(2)購買者が必要としているモノやサービスを商品として提供している企業で働く人たちは当然購買者の要求を最大限に重視してたとえ犠牲を払ってでもその要求に応えることで会社にも貢献しなければならない。
(3)企業の利益が増え、社会が豊になって労働者の所得が増えるような政治を行ってくれる政治家や政権は支持しよう。
*などなどこのほかにもいくらでもある。
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(1)は、アメリカ共和党支持者に代表される思想であるが、日本でもこれを支持する人はもちろん多い。しかし、自分が努力して築き上げた財産と見えるものは実は自分一人で築き上げたのではなく社会全体の中で互いに関係し合いながら全体の中の部分である自分が他者との共同作業で生み出した「財」なのであって、それが貨幣とか証券とかいう形をとっているため、そこに対象化されているはずの労働の諸形態が抽象化されているためにあたかも自分の個人の努力の結果と映るのである。本来社会全体の共有財であるべきものが個人の占有する私有物になるというのは資本主義社会特有の一大特徴である。そこから例えば社会全体で負担すべき社会保障費などのために自分の財産に高い税金をかけるのはおかしいという考え方が生まれるのである。オバマケアを廃止させたトランプはまさにこれである。
(2)について言えば、社会を支えるために働く人々が、労働の場では資本家的企業に雇用されて働くために、「生産者」としてその企業を経営する機能資本家と一括りにされる。しかし、自宅に帰って日常生活の中で労働力の再生産を行うときは「生活者」あるいは「消費者(生活資料商品の消費者)」として別のカテゴリーに括られる。1個2重の矛盾的存在なのである。そして労働の場では、経営者は会社の利益を増やすためにがんばっているのだから従業員も一丸となって会社のためにけんめいに働かねばならないという意識を植え付けられ、長時間労働や過酷な労働にも歯を食いしばってがんばり、自宅に戻って「消費者」になると自分の求める商品やサービスへの対応が悪いといってその商品を売る会社の労働者にクレームをつける立場になる。こうして知らず知らずに間接的に自分で自分たちの労働における立場を悪化させているのだ。
(3)については、市場競争の中で企業の利益が増えてもそれがそのままそこで働く労働者に還元されるわけではなく、企業が厳しさを増す競争の中で少しでも利益を増やせる限りのみ、そのほんの一部を労働者の賃金に上積みし、しかもそれによって労働者の生活資料商品への購買力を増やし、そこで再び生活資料商品を販売する資本家企業が利益を上げるという仕組みが出来上がっているのである。これを資本主義経済学者は「経済成長」と言っているが、このいつわりの「成長」はいつか必ず、企業利益の減少という局面にぶち当たり、そこでその企業は「合理化」の名の下に従業員数の大幅削減を図るか、他の大企業に彼の会社を従業員ごと売り渡してしまうのである。
 結局、資本主義社会とはさまざまな形で個別に社会的分業を行っている企業がそれぞれの分野の機能資本家によって経営され、そこで労働者は例外なく、自分の労働力の再生産に必要な生活資料の価値を生み出すに必要な労働時間をはるかに超えて働き、そこでうみだされた剰余価値部分を自ら意識しないうちに無償で企業に提供することになり、企業はその剰余価値部分を含む商品を販売し利益を獲得することで成り立つ社会なのである。つまりここでは「搾取」とはムチで叩かれながら労働するというようなことではなく、普通の労働の中に「1日何時間で週何日働く」といった労働契約の中に必ず組み込まれている「搾取」なのである。そして資本家経営者にとっては「価値の源泉」である労働者が絶対に必要であるとともに、そこではつねに労働者は社会的生産の場では表面的にはスーツにネクタイのサラリーマン姿であっても実質は「賃金奴隷」としてその仕組みに縛り付けられて生きなければならないのである。だからその「消費者」としての生活は資本家的商品を消費する(この消費にはモノだけではなくコトやサービスも含まれる)ことに「人生の歓び」を見いだすしかないのである。
こうして本質的に階級社会である資本主義社会は表面的には「自由・平等・民主」という形に見せかけ、経営者と労働者がその利益を分かち合う社会の様に見せかけようとするそのイデオロギーを「社会常識」とする者たちが支配階級としての「既得権」を保持していくのである。

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2017年6月21日 (水)

現代の「既得権階級」とは何だろう?(その1)

 トランプ大統領が過激な発言や政策で危険視されながらも多くの白人労働者階級に支持され、ヨーロッパでもフランスでのマクロンの勝利やイギリスでの国民投票の結果によりBREXITを推進しようとする保守党内閣が国選では敗北するなどの「揺り返し」が起きているにもかかわらず、相変わらず多くの国々で「極右」国家主義的政党が労働者階級の支持を得ている。なぜか?

 コトはそう単純ではなさそうだ。今朝(21日)の朝日朝刊「オピニオン」欄「ピケティーコラム」でのピケティのアメリカ政治情勢分析は興味深い。かつてルーズベルトが打ち出したニューディール政策では、19世紀ヨーロッパでの富裕層による貴族的寡頭政治での社会的不平等への反省から、所得税の累進課税制を取り入れ、相続税を取り入れ社会的不平等を縮小しようとした。それによりアメリカは戦後繁栄の時期を迎えたが、共和党などの根強い反発に乗って1980年にレーガンが大統領となって事態は一変した。所得税の最高税率を大幅に下げ、富裕層に有利な政策を採った。そしてその30年後、ブッシュJrが最初に相続税を廃止しようとしてからさらに10年後、トランプが相続税を完全に撤廃し、法人税を大幅に引き下げた。富裕層への大きなプレゼントである。
 それにもかかわらず、白人労働者階級は、「アメリカ・ファースト」による雇用の増大というトランプの公約に期待しトランプを支持する。その背景には、共和党が巧みな戦略で国家主義者のレトリックを操り、反知性主義をはぐくみ、民族・文化・宗教間の対立を煽り、労働者階級の分断を図ってきたことがある。さらに、公民権運動や社会福祉があまりに黒人層に偏りすぎているという不満を持った層が、共和党に流れていった。そして今年トランプがオバマケアの撤廃という措置でこれに応えた。そしてその間、民主党の支持者は高学歴者とマイノリティーにどんどん偏って行ったというのである。
 このピケティーの分析から窺えるのは、いまやアメリカの「既得権階級」とは共和党に代表される資本家など従来の富裕層を指すのではなく、いわゆる「リベラル中間層」やIT産業などで活躍できる高学歴労働者、そしてそれらを代弁するリベラルインテリ層であり、その中に公民権運動などで台頭した黒人マイノリティー層なども含まれると考えられる。これらはおおむね民主党支持層である。これに対して公民権運動からも疎外され、資本のグローバル化に取り残されたラストベルトの白人労働者階級などは、民主党に代表される「リベラル派」と対決する富裕層を代弁する共和党トランプ派の支持者になっていったというわけだ。こうした反既得権意識を持つ人々をかき立てているのがいわゆる「ポピュリズム」的流れであろう。
 そして日本の場合を考えてみよう。長く続いた自民党政権の金権体質の既得権政治にうんざりし、民主党政権に期待をかけたリベラル派支持層はその失政と無為無策によって裏切られ、その多くが安部政権支持に回ったと思われるのだが、旧自民党政権でさえ成しえなかった右寄りの安保法制、共謀罪法案、などを強行に成立させ憲法改定に突き進むと同時に法人税の大幅減税を決行し、しかも権力を利用して自分のお友達を優遇する政策を進めたりする安倍政権にいまだ支持率40%近くを与えているのはなぜだろうか?
 その原因の一つとして考えられることは、高度成長期に過酷な労働に耐えて「経済成長」をもたらし日本の資本家階級を太らせてきた労働者階級内での「格差」が増大し、その上層部が「新富裕層」となっており、こうした階層が新たな「既得権階級」の一部を形成していると思われ、その階層の大半が 「リベラル・インテリ」の思想を支持していることが考えられる。 日本のマスコミで有力な位置をしめているのがこうした「リベラル・インテリ」のいわゆる「中立的視点」であり、こうした層の安倍政治への批判がきわめて脆弱であるばかりでなく、いわゆる「有識者」として安倍政権の方針決定にまで参与しているのである。したがって当然多くの労働者層がそれに影響されているといえるのである。もちろんその背景には政権による巧みな世論操作という隠れた意図があるのはもちろんだが。
 致命的なのはこうした 「リベラル・インテリ」の視点が、政権が打ち出す「働き方改革」とか「誰でもチャンスを得られる社会」とかいう偽りの宣伝文句に対して何ら批判ができず、「経済成長のためには企業活動を盛んにする必要があるから」という理由で法人税が引き下がられ、その一方で「社会保障を維持していくために消費税の引き上げが必要だ」などという根本的な誤りにも無批判で、「経済が不況になれば雇用が失われる」と脅され、 失業率が減ったとか株価が高騰したとかいう資本家的視点での社会観に振り回されているだけなのである。
 その一方で社会の格差や矛盾はどんどん進行しつつあり、それは決して表に出ることのない深層で社会の土台を崩壊させつつある。
 このままでは社会の深層にある「既得権階級」への不満や怒りがポピュリズム的流れに乗っておかしな方向に噴出し、日本でもより過激な「右翼国家主義」的政党や民族主義が台頭し、周辺諸国と軍事力を競い会うような時代が来るかもしれない。そうなれば大きな犠牲を払わされるのはいつも多くの労働者階級自身である。歴史を繰り返してはならない。

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2017年6月12日 (月)

トランプ迷走の後に来るもの

 クビにされたコミー前FBI長官の証言でトランプ大統領はロシアンゲート問題で追い詰められるかと思いきや、持ち前の鉄面皮と傲岸で危機を何とか逃れそうだ。さすが辣腕の資本家だ。

 その一方でトランプがサウジ訪問で両国の蜜月関係を誇示したこともあって、日頃からサウジと仲が悪かったカタールがサウジの取り巻き諸国から断交された。これでイラン、トルコ、カタールとサウジ取り巻き諸国との対立が深まり、もしかすると一番漁夫の利を得るのは追い詰められているISISかもしれない。
 しかし、いったい北朝鮮問題はどこにいってしまったのだろうか?トランプの強行姿勢でまるで明日にでも日本海の米原子力空母と北朝鮮のミサイル基地との間で戦闘状態が始まるかのようだったが。トランプが頼みにしていた中国はやはりこれ以上北朝鮮には圧力をかけないだろうし金正恩もしばらく様子を見ながらときどきミサイルを打ち上げて手応えを見るだろう。アメリカの原子力空母はすでに日本海から撤退を始めたらしい。おそらく巨大な原子力空母を2隻も臨戦態勢に留め置くには莫大な戦費がかさみ、手を引かざるを得なくなったのだろう。
 ロシアンゲートの危機をなんとかくぐり抜けたとしても、トランプの支持率はガタ落ちである。パリ協定からの脱退で世界中の環境問題関係者や一部の資本家からさえも総スカンを食らい、オバマケアに代わる医療保険制度も頓挫し、メキシコ国境の壁建設も危ういし、イスラム諸国との出入国制限も司法の反発が強く難しくなっているし、八方ふさがりである。
「アメリカ・ファースト」で雇用が戻ってくるかと期待した労働者たちもそろそろその期待が幻想であったことに気づき始めているようだ。
 問題はこの「アメリカ・ファースト」のトランプ体制が怪しくなった後で、いったい何が起きるのかである。一方でルペン大統領が登場するかもしれないと言われたフランスではマクロンが大統領になって国会議員選挙でも与党「共和国前進」が過半数を超えドイツと手を組んでEUの維持強化を図るだろうし、イギリスはBREXITで世界を驚かせたあと、勇ましく歩き出そうとしたメイ首相の与党が国会議員選挙で予期せぬ敗退となり、過半数を割ってしまった。
 いまや「自国第一主義」は影を潜めつつあるように見えるが、本当にそうなのであろうか?
おそらくアメリカやヨーロッパの下層労働者階級は、またしても既得権階級が主導権を握ったとなれば、黙ってはいないだろう。フランスでもまずは様子見でマクロンにやらせてみて、「ダメならまたひっくり返してやるぞ」という雰囲気がある。
 アメリカではトランプが担っていた下層労働者階級の期待は裏切られつつあるが、おそらくトランプには次に打つ手はないだろう。しかしトランプが退陣した後で再び民主党や共和党の既得権階級が政権を握るなら、彼らも「再びひっくり返してやるぞ!」というだろう。
 そしてわが日本ではどうであろうか?森友・加計問題で見え見えのもみ消しを行いながら、何とか政権を維持している安倍政権は、マスコミ操作や世論操作によってその「共謀罪」成立、憲法改定に向けての強引な運営でこの状況を切り抜けるかもしれない。もう日本の有権者は「長いものには巻かれろ」的に安部の政権運営手法に完全にコントロールされているかのように見えるからだ。のど元過ぎれば何とやらで、有権者はすぐに忘れてしまうだろうとまったく馬鹿にされきっている。まったく悔しいではないか!

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2017年6月 7日 (水)

朝日新聞6日朝刊J.D.バンス氏のインタビュー記事をめぐって

 朝日新聞6日の朝刊「オピニオン&フォーラム」欄でのJ.D. バンス氏のインタビュー記事「取り残された白人たち」はある意味でこれまでの私の「トランプ観」に変更を加える必要を感じさせた。

 バンス氏はアメリカのいわゆるラストベルト地域の出身で、貧困の中の厳しい生活の中で育ちながら一度はベンチャー企業の投資家にまでなった人であるが、現在は作家で「ヒルビリー・エレジー」の著者である。したがって彼はラストベルトの生き証人の様な人だ。詳しくは新聞紙上を見てほしいが、朝日の記者のインタビューに答える彼から浮き彫りにされるラストベルトの状況は悲惨なものである。生きるために犯罪でも何でもやるし、悲惨な状況から一瞬でも逃れるため薬物使用が日常化している。街は寂れ、かつての製造業の工場は錆び付き、社会から見放された人々が彷徨する。
 そして、選挙のたびに労働者の味方のような顔をする既成政党は、この地方の現状には無関心で、あのオバマ政権下でもここは忘れられた地方であった。
 そして、このアメリカ社会から取り残され忘れられた人々を「発見」し、彼らを代弁しようとしたのが資本家トランプだった。自ら資本家として「うまくやって」成功したトランプは、しかしその資本主義社会で取り残されている人々の存在に気づき、自らウオール街に代表される既得権階級社会の仕組みのおかしさを変えねばいけないと思ったようだ。
 だからトランプはそうした人々の圧倒的支持を得た。しかし、バンス氏の言葉を借りれば、トランプは「問題を発見したが、その解決法が間違っている」(ということは結局問題を正しく認識していないということだが)というわけだ。
 一方、オバマ政権支持者などいわゆるリベラル派の内実は、ラストベルトが朽ち果てる中で成長したIT産業などを中心とした企業の労働者や新興資本家たちである。いわゆる「新中間層」といわれる人々で、彼らはいわば「アメリカン・ドリーム」の実現者である。
 しかしこの新中間層はラストベルトに取り残された人々には無関心である。ラストベルトの人々から見れば彼らはまさに既得権階級である。そしてそのリベラル派はトランプに対して「あいつは馬鹿だ!」と揶揄する。アメリカのリベラル派ジャーナリズムも彼らとほとんど同じ立場に立っている。
 ここで、考え直さねばならないことは、リベラル=労働者階級の味方、という図式は間違いであることはもちろんであるが、トランプ=資本家階級代表者、という図式も間違っているかもしれないということだ。もちろんトランプの辣腕資本家経営者としての発想や強引さ、傲岸さ、そしてメキシコとの国境の壁建設、パリ協定脱退や北朝鮮問題への対応に見られる危うさは誰の目からも明らかであるが、彼が発見したラストベルトの現状と、既得権階級社会の仕組みの矛盾への「直感」はある意味で間違っていないと思う。
 問題はラストベルトの現状がアメリカ社会に取り残された特殊な現象なのではなく、世界中にラストベルトと同じような状況が驚くほど多く存在し、それらが、いわゆるリベラル派支持層からも忘れ去られてしまっているということだ。
 資本主義的「経済成長」を遂げている国々ほどこうした状況が多く存在するだろう。それを単なる「格差問題」ととらえ、「格差の減少こそ最重要政治課題」などとうそぶく既得権階級代表政権の虚偽をまずは暴くべきであろう。こうした主張は表側で「自由・平等」というカンバンを掲げながら、その裏側には「自国の雇用を守るため」とか「自国第一」という主張が書かれ、他国の労働者と自国の労働者の間に壁を設けて、その連帯や団結を阻もうとするのだ。
 しかし、たとえもし、自国の雇用を守り賃金を下げないとすればその労働の成果は国際市場では不利な価格となり結局彼らのいう「経済成長」は阻まれる。そしてその被害は資本家経営者よりもむしろそこに雇用されている労働者に直接降りかかる。実質賃金の低落か解雇・転職という形で。そして「格差」は縮まらないばかりか拡大する。
 もはや世界中の労働者階級が誤った「自国第一主義」に惑わされることなく互いに手を結び合って、既得権階級であるグローバル資本と対決しなければならないところに来ているのではないだろうか?
 

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2017年5月29日 (月)

閑話休題:お笑い想定問答:プーチンのたくらみ

<クレムリンの大統領執務室にて>

*補佐官:大統領、いま入った情報では北朝鮮がまたスカッドミサイルを日本海の日本のEEZ内に向けて打ったそうです。
*プーチン大統領:そうか、予定通り実行したなキムは。
*補佐官:はい、日本ではG7から帰国したばかりの安倍首相が時差ボケにも拘わらず朝から記者発表して「断固最高レベルの抗議を中国経由で北に突きつけたそうです。
*プーチン大統領:ハハハ、さぞかしキムは笑っていることだろうな。しかし、キムの打ち上げるミサイルはことごとくわれわれロシアの技術援助で出来ているし、そうでなければあれほど早くICBMの開発が進むことはなかったことに感謝すべきなのだ。
*補佐官:御意。
*プーチン大統領:そもそも北朝鮮に危ない火遊びをさせているのもわれわれだし、それが何故かはキムが一番よく知っているはずだ。
*補佐官:御意!
*プーチン大統領:今日から日本に来ている中国高官との北朝鮮問題への折衝が始まるらしいが、中国はおそらく北にこれ以上圧力はかけられないだろう。
*プーチン大統領:中国は彼らと友好関係を築いて韓国や日本のアメリカ軍基地からの脅威に備えようとしたにも拘わらず結局はアメリカやEUとの経済関係を悪化させたくないがために、それを推し進められなくなって中途半端な行動をとらざるを得なくなっている。国内での経済の行き詰まりを「一帯一路計画」やAIIBなどアジア・ヨーロッパ全域を視野に入れたプランをぶち上げることで克服して覇権を確立しようとしているが、われわれロシアはもともと中央アジアや東ヨーロッパの旧ソ連圏の国々での利権を彼らに譲り渡たすわけには行かんのだ。
*補佐官:御意!!
<そこにラブロフ外相が入ってきた>
*プーチン大統領:やあラブロフ君、G7の状況はどうなんだね?
*ラブロフ外相:はい大統領、報告によればG7ではEUやカナダとアメリカとが対立して結束に亀裂が入ったようです。日本だけはなんだか煮え切らずよく分かりませんが。
*プーチン大統領:うむ、だんだんオレの出番が近づいてきたな、ウハハハ。ところでトランプの周辺はどうかね?
*ラブロフ外相:はい、G7から帰国してすぐにクシュナー氏が特別検察官の「ロシアンゲート問題」のターゲットになってるようですが、まあ、彼はうまく逃げおおせるでしょう。問題はFBI前長官が議会で証言席に立つかどうかですが、結局はシッポをつかまれることはないと思います。
*プーチン大統領:うむ、トランプはドジなところがあるが、肝心なところは漏らさないだろう。なにしろ彼はオレに大きな借りがあるからな、ウッハッハ。
*ラブロフ外相:はい、あとは日本の安部首相との問題が残ってますが。
*プーチン大統領:安部は北方領土問題をエサにしてうまくコントロールできるだろう。何せやっこさんはわれわれがキムの尻をつついてやらせているミサイル打ち上げ問題をそうとは知らずに、これを絶好のチャンスととらえて北の脅威を宣伝しながら憲法改定問題にむけて頭がいっぱいで、あのトランプと習近平とこのオレという3人の手強い相手と対等に闘えるような状態ではないからな。北の脅威を防ぐためにはロシアと手を結ばねばならぬことにまもなく気づくだろう。安部は見事にオレの罠にハマっているではないか、ウッハッハハッハ!
*ラブロフ外相:御意!!!
<登場人物は実在しますが、もちろんこれはフィクションです。>

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2017年5月24日 (水)

やはり資本家トランプ大統領にだまされたアメリカ労働者階級

 昨日の朝日夕刊に掲載されていたが、アメリカのトランプ政権が2018年度(2017.10-2018.09)の予算教書の概要を明らかにした。

 これによると、年3%の経済成長を達成し、10年間で財政赤字を解消させると言っているが、その内容は、歳出削減として、低所得者向け公的医療保険(メディケイド)の適用範囲の厳格化、低所得者向けの食費支援(フードスタンプ)の見直し、などを行うことで10年間で3.6兆ドルの歳出を削減し、その一方でインフラ整備に2000億ドル(民間投資も含めれば1兆ドル)、国境警備費に26億ドル、そのうち国境の壁建設に16億ドルを提案するなど国防予算を大幅に増額しようというのだ。
 アメリカ議会はこの教書(大統領提案)について議会で討論し、実際の予算は議会で作成する。従ってこの案はそのまま議会で認められるとは思えないが、それにしても、トランプ政権の頭の中では、その選挙運動中に声高に叫ばれていた、アメリカ労働者への支援、という方向はほとんど見当たらない。多分、彼らの頭の中では、インフラなどの公共投資に労働者を雇用し、それによる恩恵があるということなのだろうが、その保障はまったく不確かであやしいものであり、むしろ低所得者支援というどのような場合にも確実に必要となる予算を削減することで、一番下層の労働者階級へしわ寄せが集中する形になるだろう。
 つまり、下層労働者や低所得で生活難に苦しむ人々はトランプに裏切られたのである。いやもっと正確にいえば、最初から彼らを切り捨てることを前提にして選挙運動に利用したのであろう。
 そしてさらに、メキシコからの大量の移民流入により職を奪われるアメリカの労働者を救済するために巨大な壁を作るという馬鹿げた政策を公約に掲げることで労働者階級の応援を獲得し(しかもこの費用をメキシコに支払わせるなどというありもしない嘘を言って)、公共事業を活性化させることで失業者をなくすと宣伝しつつ、結局はそこれによるゼネコン資本家やそこに投資して儲けようとする投資家や金融資本家に利益が集中することが目的であって、その目的のためにはおそらくはアメリカ労働者の賃金はメキシコ労働者並みとは言わないまでも低い水準に抑えられることは確実である。そしてそれらの「成長政策」が頓挫し失敗したときにはつねに労働者達がもっとも手ひどい仕打ちを受けることも確実である。
 資本家が肥え太ることによってそのおこぼれを労働者が頂戴できるというトリックルダウン図式は支配的階級である資本家達の発想であり、決して労働者自らの力で社会を動かしていくことを許すものではないことを肝に銘じておかねばならないだろう。

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2017年5月23日 (火)

「共謀罪」衆院「通過予定」の日のマンチェスターの「テロ」事件

 先日委員会を強行採決で通過させた「共謀罪」を野党の猛反対にもかかわらず、政府は本日中に衆院本会議を通過させる「予定」と宣言していた。あらかじめ十分な議論をせずに通過させようというのだろうか?

 そしてちょうどその日の朝、海外からのニュースで、イギリス マンチェスターのコンサート会場で爆発があり、19人が死亡、多数の負傷者が出たというニュースが入った。
 間髪を経ず、政府は官房長官発表を行ない、イギリスのテロ事件に遺憾の意を表明し、テロ撲滅への英国国民との連帯を表明した。
 なんというタイミングの良さだろう。そしてその日の昼のNHK-BSの海外ニュースの時間は、いつもの番組編成を変更して、このニュースだけを全部の時間を使って報道していた。NHKは政府の意向を「忖度」したのだろうか?
しかも、このマンチェスターの爆発事件はこの段階ではまだ詳細が分からず、イギリスの警察は「一応テロとして」捜査していると言っていた。しかし日本政府はその段階ですでにテロ事件として扱っていた。まさに「待ってました!」ということのようだ。
 こうして「テロ」事件を恐れる世論を利用して、「共謀罪」はやすやすと国会を通過し、気がつけば、われわれの生活はつねに「上からの疑念の目線」による監視と管理の中に置かれつづけることになっていくのだろう。
 世の中株価は上がり、景気も良いのだそうだ。しかし、それは誰にとって「景気が良い」のだろうか?韓国では朴前大統領が財閥からの収賄と職権乱用の疑いで逮捕され、裁判が始まっているが、日本では森友、下計学院問題などでの職権乱用も政府官僚によってもみ消され、うむをいわせず2年後までに憲法を改定させ、今日「共謀罪」も「予定通り」通過させる。韓国に比べなんと日本の民意は低いのだろう!

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2017年5月15日 (月)

閑話休題:お笑い想定問答 北朝鮮のミサイル発射と身代金サイバー攻撃

<ホワイトハウスにて>
*トランプ大統領: キムが中距離弾道ミサイルを打ち上げ、2000Kmも上空に上がって日本海のロシアに近い海域に落ちたそうだな。
*大統領補佐官:はい、これはロフティング発射でしたが通常の角度で発射されればグアム島の基地まで届く性能だとのことです。
*トランプ:うむ、あらかじめこの情報を察知したわがCIAが北のミサイル発射を失敗させるためのサイバー攻撃を行ったがそれがうまくいかなかったということらしいな。キムのやつ我々のサイバー攻撃をかわす方法を見つけ出しやがったな。
*補佐官:はい、そのようです大統領。ところでいまCIAから入った情報によれば世界中で身代金要求サイバー攻撃が掛けられているとのことです。イギリスのNHSやロシアなどが被害を受けているそうです。
*トランプ:そうか、すぐにFBIサイバー犯罪担当官に連絡してその犯人を突き止めさせろ。
*補佐官:はっ!
<しばらくしてFBIサイバー犯罪担当官から電話があった>
*FBIサイバー犯罪担当官:大統領閣下、100カ国以上に渡って被害が報告されていますが、いまのところ犯人は分かっていません。ISISが関わっているとも考えられますが。
*トランプ:それも考えられるがもう少しあちこちに網を張って犯人を突き止められないのか?
*FBIサイバー犯罪担当官:はい、それが....。いまFBI長官が解任されたままで後任も決まっていないので、情報収集力が著しく下がっております。
*トランプ:(不機嫌そうに)分かった。それではオレの友達のCIAの専門家にでも聞いてみよう。
<まもなく大統領にCIAのサイバーテロ専門官から電話があった>
*CIAのサイバーテロ専門官:大統領閣下、わが方の情報収集によれば、今回のサイバーテロの発信源はロシアである可能性が強いようです。しかしもしかするとロシアは単なる「経由地」なのかもしれません。
*トランプ:するとどこが本当の発信源なのだ?
*CIAのサイバーテロ専門官:はい、それが.... 、信じられないことですがアメリカの可能性が強いのです。
*トランプ:なぬ!! ほんとか?
*CIAのサイバーテロ専門官:明確ではありませんが、ある有名企業の息の掛かったソフトウエア会社のコンピュータからの様なのです。そしてそこから発信されたマルウエアがロシアのあるサーバーを経由して世界中にばらまかれたと思われます。
*トランプ:スノーデンでも関わっているのか?
*CIAのサイバーテロ専門官:そうではないようです。どうもロシア沿海州方面のサーバー経由の様で、そこで妙なことが起きているようです。
*トランプ:何だ、その奇妙なこととは。
*CIAのサイバーテロ専門官:アメリカから北朝鮮のミサイル基地に向けてサイバー攻撃を行ったとき、ロシアからこれを阻止するサイバー防御があったようです。しかし、そのとき同時にアメリカのある企業からのマルウエアが世界中にばらまかれたのです。
*トランプ:う〜む、分からんな。
*大統領補佐官:もしかすると、ロシアは自分たちのやったことから世界中の目をそらすためにやったのかもしれませんね。
*トランプ:プーチンのやつめ!北とつるんでいたのか!
<ところかわって、ここはクレムリンの大統領執務室>
*プーチン:われわれがキムのミサイル発射を成功させたことは、今後オレがキムの行動を左右できる立場に立ったという何よりものキムへの見せつけになっただろう。しかもランサムウエア事件で世界中が大騒ぎで、キム以外の世界の誰もがそうとは知らずにだ。ウハハハ。
*補佐官:御意!
*プーチン:それにしてもアメリカの「○○ソフト」が例のOSのアップグレードがうまく普及していないことへの焦りがあってか、今回の密約に応じてくれたことは意外な収穫だったな。
*補佐官:御意!
(注:もちろんこれはフィクションです。「○○ソフト」とは架空の会社です。)

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2017年5月 6日 (土)

アベノミクス崩壊の予兆と「安部プライベート憲法」への道

 安倍首相は憲法改正促進派の集会向けにビデオメッセージを送り、その中で、2020年までに改訂実施を目指し、9条には自衛隊の存在をキチンと位置づける、と宣言した。

 それに先立つNHKなどの世論調査では改訂の必要ありがやや多く、必要なしがやや少ないという結果が出たが、それと同時に9条の改訂は必要ないとする意見は過半数を超えていた。
 安倍首相はこれをどう見たのか分からないが、2020年までという根拠もはっきりせず、9条にわざわざ入れなくとも自衛隊は現に存在しているではないか。このビデオメッセージはまるで憲法が「改正」を主張する自分の都合のためにある「プライベート憲法」であるかのような扱いであった。何という驕りだろう!
 このような驕りの背景には安倍政権の支持率が高いということがあるわけで、これに絶対的自信を深め、自分の意のままに「決められる政治」を実行しようというのであろう。
 この支持率の高さはいまのところ何とか維持されている株価や「景気」そしてその裏付けとなる大企業の高収益とそれに支えられる低失業率の維持から来るのであろう。
 しかし、このアベノミクスの現実はまさに崩壊の危機に瀕しているとしか言い様がない。
何度もこのブログでも書いて来てきたが、日銀黒田総裁の「異次元の金融緩和」でばらまくカネが経済を刺激して物価を上昇させ、企業利益を増やし、「うまくいけば」労働者の賃金も上がり、消費が拡大する、という「好循環図式」そのものが地獄への道なのである。
 5月6日の朝日新聞朝刊4面「経済」欄に載っていた、「積極財政 首相に進言次々」という記事でも書かれていたが、例の大投資家ジョージ・ソロスやFSA長官のアデア・ターナーなどから、景気刺激のために国の借金を気にせず財政出動をするように進言されてその気になっているらしい。
  その記事でも取り上げられていた「ヘリコプター・マネー」つまり空からおカネをどんどんばらまけば、景気は必ず良くなるという考え方は、まさに「カネこそわがすべて」の資本家的発想であって、行き詰まった資本主義経済体制への破れかぶれの幻想にすぎない。
 そもそもおカネとは何かと言えば、あるモノを生産する地域とそれを作っていない地域で作られる別のモノを交換して生産物の流通を行うために登場した流通の媒介物であり、本来流通する商品と同じ価値量の貨幣があれば済むものである(もちろん様々な理由で流通期間の長短が生じるのでそれを補完するためにストックされる貨幣も必要であるが)。
 それがその流通に必要な量をはるかに超えて発行されるのは、カネをどんどん使わせて流通を恣意的に速めることで資本(商品および貨幣)の回転を速め、それによる利潤の獲得量を増やそうとすることに動機があるといえるだろう。これはいわゆるインフレ政策の基本にある考え方であるが、この政策がある程度成功したかに見えるのは、その前提として過剰な生産と過剰な消費が意図的に作り出される必要があり、そのため、労働者の賃金を少しずつ上げながらその支出を促すことで、労働者も「豊かな生活」ができ、企業も儲かるという「ウインウイン」の関係が成立するかのように見えるからである。
 しかし、その背景には労働者の買う生活資料商品の販売によってその賃金として支払ったカネを資本家に環流させるという「たくらみ」があるのだ。だから「物価の上昇」が彼らにはキーワードとなっている。
 この考え方は一見、好循環のもとで経済が「成長」するかのように見えるが実は、どんどん虚妄の価値の上に成り立つ空中楼閣的な経済が築き上げられていき、それと同時に過剰な生産が進むことによる資源枯渇や過剰な消費が進むことによる地球環境破壊が進んでいくのである。やがてそれが限界に達したときに初めて現実経済からの手ひどいしっぺ返しを受けることになる。「根無し草」的貨幣の超過により貨幣価値が急落し「超インフレ」となり、同時に「大不況・大失業時代」が到来することになることは確実である。
 現に、その「限界」が見え始めてきた。いくら安部さんが「消費拡大」の旗振りをしてみても労働者階級がモノを買わなくなってきたのである。その理由は労働者達はすでにモノばかり買わされる人生に嫌気がさしてきており、それが決して自分たちの存在意義や自己表現を意味していないことに気づき始めているし、将来への不安が増大しているからなのだろう。つまり安倍首相のいうことが「虚言」に過ぎないという正当な直感があるからだと思う。
 その一方で、かつてのインフレ政策で生まれてきたいわゆる「中間層」の労働者は上層部の「勝ち組」が新世代の資本家として新富裕層となっていき、「負け組」はますます下層に落とされ、新貧困層を形成するようになっている。そしてその多くが新富裕層などの経営する企業、例えば流通販売業、情報通信企業、外食産業、あるいは不動産業やいわゆる奢侈品産業や観光娯楽産業、そしてギャンブル産業などの不生産的産業にぶら下がって生きねばならなくなっている人々が増えている。これが失業率を低く見せているのである。
 こうして下層に突き落とされていった人々の怒りは屈折した形で潜在し、いったん失業率が上がればこれが爆発し、世界的な規模でいわゆるポピュリズムの波を起こしつつある。これに対して一定の危機感を持つ安倍政権はもっぱら「ニッポンを愛する気持ちの大切さ」を宣伝し。「国を護る気概」を宣揚することで「国民的結束」を図ることに努めており、北朝鮮問題はこの安部首相の政策には大きな追い風となっているようだ。
 しかしその底流では世界的に資本主義経済体制の「大崩壊」がじわじわと始まりつつあるようだ。問題はいつこの大崩壊の予兆が現実のものになるかであろう。いずれにせよ本当に社会に必要な労働によって世の中を下支えしている人々同士が国境を挟んで争い殺し合う悲惨な戦争を避け、国境を越えたボトムアップ的社会改革を進めるための連帯と結束を生み出していくことが必要になっているのではないだろうか。

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2017年4月30日 (日)

ラストベルトの労働者 その後

 昨夜9時からのNHK-BSスペシャルでアメリカのラストベルトの労働者の今を放映していた。

 ラストベルト地域で生き残っていた企業の中で手堅いある航空機部品メーカーでは市場での競争が厳しくなり、メキシコに生産拠点を移すと発表した。それに反対する労働者たちは大統領選でトランプに期待を託し、トランプ当選に大きな役割を果たした。そこで労働者側は大統領に当選したトランプに直訴して現状を訴えたが、結局待てど暮らせどトランプ政権は彼らを救うための有効な手立てを何ら講じることはなかった。シリア内戦や北朝鮮問題で「力による平和」をスローガンに緊張関係を生み出していたため、そんな「些細なこと」にかかずらっていられなかったのだろう。
  仕方なく労働者たちはストを決行して雇用の維持を訴えたがこれも結局よい結果を生まず、会社側は解雇者リストを発表した。そして6月末までにほとんどの従業員が解雇されることになったが、一部の社員はメキシコに新設される工場で新たに雇用されるメキシコ人労働者の技術指導をやらされることになった。これにはその従業員も戸惑いを感じたし、解雇される労働者たちからは怒りの声が起きた。
  しかし、結局彼らはあきらめて解雇を認める方向に流れていった。彼らの一人は「オレは何十年もこの会社のために働き、他の会社に行かないようにとまで言われがんばってきたが、情勢が変化してこうなってしまった。あれだけ支持したトランプには結局裏切られ、悔しいが仕方のないこととあきらめるしかない。しかしオレはメキシコの労働者を憎んではいない。結局彼らもこの会社で安い賃金で働かされ、気の毒だと思う」
 私は彼に「そうだ!メキシコの労働者も君たちと結局同じ立場なんだ!」と気持ちを伝えたかった。
 そしてもう一つの例。同じくメキシコに工場を移す計画を持っていたある空調機器メーカーの話である。トランプが大統領になってから、自分を支持してくれた労働者たちのために直接その経営者に交渉して、工場のメキシコ移転をやめさせたのだ。これには労働者たちは、トランプが約束通りオレたちを護ってくれた、と大喜びだった。
 ところが、その工場ではその後、メキシコ移転しない代わりに大規模な「合理化」を行い、大幅な人員整理を決行すると発表があった。結局、ラストベルトの労働者はここでもトランプに裏切られたのである。
 以上がその放映の内容である。
 折しもニュースではトランプが就任100日目の演説で「私は多くの公約を実行に移し、そのほとんどは成功した。これはアメリカにとってすばらしいことだ!」と自慢げにしゃべっていた。そして多くの狂信的な支持者たちが星条旗を振って万雷の拍手喝采を送っていた。
 これが「アメリカ・ファースト」の現実である。ラストベルトの労働者達はやがて真実に目覚める時が来るに違いない。

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