経済・政治・国際

2017年5月24日 (水)

やはり資本家トランプ大統領にだまされたアメリカ労働者階級

 昨日の朝日夕刊に掲載されていたが、アメリカのトランプ政権が2018年度(2017.10-2018.09)の予算教書の概要を明らかにした。

 これによると、年3%の経済成長を達成し、10年間で財政赤字を解消させると言っているが、その内容は、歳出削減として、低所得者向け公的医療保険(メディケイド)の適用範囲の厳格化、低所得者向けの食費支援(フードスタンプ)の見直し、などを行うことで10年間で3.6兆ドルの歳出を削減し、その一方でインフラ整備に2000億ドル(民間投資も含めれば1兆ドル)、国境警備費に26億ドル、そのうち国境の壁建設に16億ドルを提案するなど国防予算を大幅に増額しようというのだ。
 アメリカ議会はこの教書(大統領提案)について議会で討論し、実際の予算は議会で作成する。従ってこの案はそのまま議会で認められるとは思えないが、それにしても、トランプ政権の頭の中では、その選挙運動中に声高に叫ばれていた、アメリカ労働者への支援、という方向はほとんど見当たらない。多分、彼らの頭の中では、インフラなどの公共投資に労働者を雇用し、それによる恩恵があるということなのだろうが、その保障はまったく不確かであやしいものであり、むしろ低所得者支援というどのような場合にも確実に必要となる予算を削減することで、一番下層の労働者階級へしわ寄せが集中する形になるだろう。
 つまり、下層労働者や低所得で生活難に苦しむ人々はトランプに裏切られたのである。いやもっと正確にいえば、最初から彼らを切り捨てることを前提にして選挙運動に利用したのであろう。
 そしてさらに、メキシコからの大量の移民流入により職を奪われるアメリカの労働者を救済するために巨大な壁を作るという馬鹿げた政策を公約に掲げることで労働者階級の応援を獲得し(しかもこの費用をメキシコに支払わせるなどというありもしない嘘を言って)、公共事業を活性化させることで失業者をなくすと宣伝しつつ、結局はそこれによるゼネコン資本家やそこに投資して儲けようとする投資家や金融資本家に利益が集中することが目的であって、その目的のためにはおそらくはアメリカ労働者の賃金はメキシコ労働者並みとは言わないまでも低い水準に抑えられることは確実である。そしてそれらの「成長政策」が頓挫し失敗したときにはつねに労働者達がもっとも手ひどい仕打ちを受けることも確実である。
 資本家が肥え太ることによってそのおこぼれを労働者が頂戴できるというトリックルダウン図式は支配的階級である資本家達の発想であり、決して労働者自らの力で社会を動かしていくことを許すものではないことを肝に銘じておかねばならないだろう。

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2017年5月 6日 (土)

アベノミクス崩壊の予兆と「安部プライベート憲法」への道

 安倍首相は憲法改正促進派の集会向けにビデオメッセージを送り、その中で、2020年までに改訂実施を目指し、9条には自衛隊の存在をキチンと位置づける、と宣言した。

 それに先立つNHKなどの世論調査では改訂の必要ありがやや多く、必要なしがやや少ないという結果が出たが、それと同時に9条の改訂は必要ないとする意見は過半数を超えていた。
 安倍首相はこれをどう見たのか分からないが、2020年までという根拠もはっきりせず、9条にわざわざ入れなくとも自衛隊は現に存在しているではないか。このビデオメッセージはまるで憲法が「改正」を主張する自分の都合のためにある「プライベート憲法」であるかのような扱いであった。何という驕りだろう!
 このような驕りの背景には安倍政権の支持率が高いということがあるわけで、これに絶対的自信を深め、自分の意のままに「決められる政治」を実行しようというのであろう。
 この支持率の高さはいまのところ何とか維持されている株価や「景気」そしてその裏付けとなる大企業の高収益とそれに支えられる低失業率の維持から来るのであろう。
 しかし、このアベノミクスの現実はまさに崩壊の危機に瀕しているとしか言い様がない。
何度もこのブログでも書いて来てきたが、日銀黒田総裁の「異次元の金融緩和」でばらまくカネが経済を刺激して物価を上昇させ、企業利益を増やし、「うまくいけば」労働者の賃金も上がり、消費が拡大する、という「好循環図式」そのものが地獄への道なのである。
 5月6日の朝日新聞朝刊4面「経済」欄に載っていた、「積極財政 首相に進言次々」という記事でも書かれていたが、例の大投資家ジョージ・ソロスやFSA長官のアデア・ターナーなどから、景気刺激のために国の借金を気にせず財政出動をするように進言されてその気になっているらしい。
  その記事でも取り上げられていた「ヘリコプター・マネー」つまり空からおカネをどんどんばらまけば、景気は必ず良くなるという考え方は、まさに「カネこそわがすべて」の資本家的発想であって、行き詰まった資本主義経済体制への破れかぶれの幻想にすぎない。
 そもそもおカネとは何かと言えば、あるモノを生産する地域とそれを作っていない地域で作られる別のモノを交換して生産物の流通を行うために登場した流通の媒介物であり、本来流通する商品と同じ価値量の貨幣があれば済むものである(もちろん様々な理由で流通期間の長短が生じるのでそれを補完するためにストックされる貨幣も必要であるが)。
 それがその流通に必要な量をはるかに超えて発行されるのは、カネをどんどん使わせて流通を恣意的に速めることで資本(商品および貨幣)の回転を速め、それによる利潤の獲得量を増やそうとすることに動機があるといえるだろう。これはいわゆるインフレ政策の基本にある考え方であるが、この政策がある程度成功したかに見えるのは、その前提として過剰な生産と過剰な消費が意図的に作り出される必要があり、そのため、労働者の賃金を少しずつ上げながらその支出を促すことで、労働者も「豊かな生活」ができ、企業も儲かるという「ウインウイン」の関係が成立するかのように見えるからである。
 しかし、その背景には労働者の買う生活資料商品の販売によってその賃金として支払ったカネを資本家に環流させるという「たくらみ」があるのだ。だから「物価の上昇」が彼らにはキーワードとなっている。
 この考え方は一見、好循環のもとで経済が「成長」するかのように見えるが実は、どんどん虚妄の価値の上に成り立つ空中楼閣的な経済が築き上げられていき、それと同時に過剰な生産が進むことによる資源枯渇や過剰な消費が進むことによる地球環境破壊が進んでいくのである。やがてそれが限界に達したときに初めて現実経済からの手ひどいしっぺ返しを受けることになる。「根無し草」的貨幣の超過により貨幣価値が急落し「超インフレ」となり、同時に「大不況・大失業時代」が到来することになることは確実である。
 現に、その「限界」が見え始めてきた。いくら安部さんが「消費拡大」の旗振りをしてみても労働者階級がモノを買わなくなってきたのである。その理由は労働者達はすでにモノばかり買わされる人生に嫌気がさしてきており、それが決して自分たちの存在意義や自己表現を意味していないことに気づき始めているし、将来への不安が増大しているからなのだろう。つまり安倍首相のいうことが「虚言」に過ぎないという正当な直感があるからだと思う。
 その一方で、かつてのインフレ政策で生まれてきたいわゆる「中間層」の労働者は上層部の「勝ち組」が新世代の資本家として新富裕層となっていき、「負け組」はますます下層に落とされ、新貧困層を形成するようになっている。そしてその多くが新富裕層などの経営する企業、例えば流通販売業、情報通信企業、外食産業、あるいは不動産業やいわゆる奢侈品産業や観光娯楽産業、そしてギャンブル産業などの不生産的産業にぶら下がって生きねばならなくなっている人々が増えている。これが失業率を低く見せているのである。
 こうして下層に突き落とされていった人々の怒りは屈折した形で潜在し、いったん失業率が上がればこれが爆発し、世界的な規模でいわゆるポピュリズムの波を起こしつつある。これに対して一定の危機感を持つ安倍政権はもっぱら「ニッポンを愛する気持ちの大切さ」を宣伝し。「国を護る気概」を宣揚することで「国民的結束」を図ることに努めており、北朝鮮問題はこの安部首相の政策には大きな追い風となっているようだ。
 しかしその底流では世界的に資本主義経済体制の「大崩壊」がじわじわと始まりつつあるようだ。問題はいつこの大崩壊の予兆が現実のものになるかであろう。いずれにせよ本当に社会に必要な労働によって世の中を下支えしている人々同士が国境を挟んで争い殺し合う悲惨な戦争を避け、国境を越えたボトムアップ的社会改革を進めるための連帯と結束を生み出していくことが必要になっているのではないだろうか。

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2017年4月30日 (日)

ラストベルトの労働者 その後

 昨夜9時からのNHK-BSスペシャルでアメリカのラストベルトの労働者の今を放映していた。

 ラストベルト地域で生き残っていた企業の中で手堅いある航空機部品メーカーでは市場での競争が厳しくなり、メキシコに生産拠点を移すと発表した。それに反対する労働者たちは大統領選でトランプに期待を託し、トランプ当選に大きな役割を果たした。そこで労働者側は大統領に当選したトランプに直訴して現状を訴えたが、結局待てど暮らせどトランプ政権は彼らを救うための有効な手立てを何ら講じることはなかった。シリア内戦や北朝鮮問題で「力による平和」をスローガンに緊張関係を生み出していたため、そんな「些細なこと」にかかずらっていられなかったのだろう。
  仕方なく労働者たちはストを決行して雇用の維持を訴えたがこれも結局よい結果を生まず、会社側は解雇者リストを発表した。そして6月末までにほとんどの従業員が解雇されることになったが、一部の社員はメキシコに新設される工場で新たに雇用されるメキシコ人労働者の技術指導をやらされることになった。これにはその従業員も戸惑いを感じたし、解雇される労働者たちからは怒りの声が起きた。
  しかし、結局彼らはあきらめて解雇を認める方向に流れていった。彼らの一人は「オレは何十年もこの会社のために働き、他の会社に行かないようにとまで言われがんばってきたが、情勢が変化してこうなってしまった。あれだけ支持したトランプには結局裏切られ、悔しいが仕方のないこととあきらめるしかない。しかしオレはメキシコの労働者を憎んではいない。結局彼らもこの会社で安い賃金で働かされ、気の毒だと思う」
 私は彼に「そうだ!メキシコの労働者も君たちと結局同じ立場なんだ!」と気持ちを伝えたかった。
 そしてもう一つの例。同じくメキシコに工場を移す計画を持っていたある空調機器メーカーの話である。トランプが大統領になってから、自分を支持してくれた労働者たちのために直接その経営者に交渉して、工場のメキシコ移転をやめさせたのだ。これには労働者たちは、トランプが約束通りオレたちを護ってくれた、と大喜びだった。
 ところが、その工場ではその後、メキシコ移転しない代わりに大規模な「合理化」を行い、大幅な人員整理を決行すると発表があった。結局、ラストベルトの労働者はここでもトランプに裏切られたのである。
 以上がその放映の内容である。
 折しもニュースではトランプが就任100日目の演説で「私は多くの公約を実行に移し、そのほとんどは成功した。これはアメリカにとってすばらしいことだ!」と自慢げにしゃべっていた。そして多くの狂信的な支持者たちが星条旗を振って万雷の拍手喝采を送っていた。
 これが「アメリカ・ファースト」の現実である。ラストベルトの労働者達はやがて真実に目覚める時が来るに違いない。

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「グローバリぜーションかナショナリズムか」なのか?(修正版)

(2017.04.30大幅修正)

27日のNHK-BS国際ニュースの中でのフランス・ドゥーのニュースから。

 マクロン大統領候補が自身の出身地であり選挙地盤でもあったアミアンを訪れ、そこのワールプール社の工場を訪れた。ワールプール社はこの工場を閉鎖してポーランドに生産拠点を移すこととなり、労働者が解雇されることになったのである。労働者の代表者と会談を行っている最中に突然ルペン大統領候補がやってきた。会場の外にいた労働者達は驚いたが、ルペン氏はマクロンが擁護するEUとそれが掲げるグローバリズムが何をもたらすかがこれではっきりしただろうと労働者に訴え、拍手を受けた。一方マクロンは会談を終えて帰る際に大勢の労働者に囲まれて、彼らから「こうなったのは現政権の左派も右派も何もしてくれなかったからだ」と責め立てられるが、「私は左派でも右派でもない新たな政策を打ち出す。問題は企業の問題であってグローバリズムが間違っているのではない」と叫びながら退場した。
 このニュースは今の世界を象徴的に表している。つまり「グローバリズムかナショナリズムか」と言われる問題だ。
 しかし、この問題の核心は、これまでEUやアメリカ民主党政権などのいわゆる「リベラル派」が中心となって推し進めてきたグローバリゼーションがいまやその矛盾が明白になって、移民問題や企業の海外移転などによって職を失う労働者が急増しているという現状にあるといえる。これに対して、トランプやルペンのナショナリズム的「自国第一主義」が対置され、どちらを採るかという図式になってしまっていること自体が問題なのだと思う。
主要な問題点は次の二つに集約できるのではないか。
1.なぜ一方でグローバリズムといわれる状態が拡大し続けているのに他方で「国家間の格差」が縮まらないのはなぜか
2.そこで生じる「生活水準」の差とは何なのか

 まず1の問題であるが、一方で大量消費を経済的基盤とする「先進諸国」から生まれ育った資本主義的企業がその利益を拡大するために国境を越えて国際的に経済基盤を作りながら資本を循環・蓄積しながら互いに競争を激化しつつある(これが「グローバリゼーション」の真の中身である)が、それは一方で貧困な国々を必要としているからである。
 グローバル資本はその国際市場競争での勝利のために必然的に労働賃金が低くても暮らせる国々へと生産拠点を移さざるを得なくなる。なぜなら、「先進国」の労働賃金のまま、そこで作った商品を国際市場で売ろうとしてもそれはコスト高となり価格競争で負けるからだ。そしてその低賃金で生産した商品を国際市場でその市場での取引が成立する範囲で最も高い価格で売りまくる。「先進国」の労働者は彼らの賃金水準からすれば比較的安いそれらの商品を買って生活資料とする。そうした「先進諸国」 の大量消費から莫大な利益が資本のもとに環流するのである。だから「先進諸国」の生産企業はこぞって「開発途上国」に生産拠点を移さざるを得なくなる。
 当然「先進国」の労働者はこれによって職を失うことになる。だからトランプやルペンのような「自国第一主義」や「雇用の確保」を主張する大統領候補を支持する様になる。しかし彼らがいくら「自国の雇用を増やす!」と叫び、半ば強制的に国外への工場移転を阻止して雇用を確保させてみても、結局資本家は自国の労働者の賃金を「開発途上国」並みに引き下げねば市場競争に勝てなくなる。
  それはすでに「大量消費国」化した国の労働者達にとっては深刻な生活苦と貧困化を意味する。当然それに反対する労働者に対しては資本家側は生産拠点を自国内に留める代わりに国内の工場を徹底的に「合理化」し、人員削減を行うことになる。結局「先進国」の企業はどちらにせよ、自国の労働者のクビを切ることになるのである。
 そして、「途上国」から輸入された安い商品により「先進国」では国内市場に出回る生活必需品の価格は低く抑えられ、その分、生き残った労働者の平均賃金は実質的に切り下げられる。一方、「途上国」の労働者は、「先進国」の労働者に安い生活資料を売り込む資本家に雇用され、先進国より遙かに低い労働賃金で働かさせる。こうした国々ではまだ国内市場は大量消費国型になっておらず、生活資料が少なくても生活できるからだ。
 こうして「先進諸国」と「開発途上国」は互いに「持ちつ持たれつ」の関係となり、格差は意図的に保たれることになる。
 次に2の問題である。
  例えば敗戦で破壊し尽くされ「ゼロ・リセット」から再出発していまは「先進資本主義国」の一つになった日本の戦後の発展の歴史を見てみよう。労働者は初めはアパート暮らしで、何とか必要な家具や生活資料を買うだけの賃金(昭和30年代初めの平均賃金は1万7千円程度だったと思う)がもらえればやっていけたが、徐々に洗濯機や冷蔵庫、掃除機などがなければやっていけない生活となり、やがてはクルマやエアコン、パソコンがなくては成り立たない生活になり、持ち家を得ることが生涯の目的となっていき、それにつれて電気代もガス代もかかるようになり、子供の教育費やインターネットの通信料が大きな出費となっていった。そうなれば賃金水準も高くならなければ平均的な生活ができなくなる。「豊かな生活」と言われるが結局は「消費者」として資本の生み出す商品を買わされ続け、相対的に高騰した賃金のほとんどすべてを再び資本に環流しているだけなのである。これが「生活水準の高い国」の内実であって、要は資本の生み出す過剰な商品をどんどん買わされて過剰に消費することで、本来は過剰資本となるものを資本にとって利潤として環流させ蓄積させているに過ぎないのである。
 だから「生活水準」が高い国とは単に資本の生み出した商品を大量に消費させられている国であり、低い国とはそれらの国の大量消費を支えるために自らの国の労働者の賃金を低いままに据え置かねばならない国なのである。
 資本主義経済の不均等発展の過程でいま「開発途上国」と言われる国々は「先進国」の歴史をある意味で後追いしているように見えるが、現実にはつねに賃金格差が保持されながら実際には「先進諸国」の労働者と同じかそれ以上の価値を生み出す労働(そのほとんどをグローバル資本に搾取されている)をさせられているのである。
 さらにこうした流れに乗れない国々は「最貧国」化され、グローバル資本の利権がらみの紛争と貧困から来る過激な宗教への傾倒などによるテロリズムをはぐくみ、混沌とした状況を生み出すことになっている。
 そのためそうした紛争地域に住む人々が生活できなくなっているという状況があり、それが「先進諸国」への避難移民の流入を急増させている。そして「先進諸国」ではそれに対してますます排外的な思想がはびこりつつある。こうした矛盾が今の世界で渦巻いている。これは明らかにグローバル資本主義が大きな壁にぶつかっている証拠であり、いわばその崩壊過程であるともいえるだろう。
 だから「グローバリズム」と「ナショナリズムか」はこうした資本主義社会の同じ矛盾の表と裏を表しているに過ぎず、いまこそ再び馬鹿げた戦争と大量の殺し合いを避けるために歴史を一歩前進させ、資本主義社会以後の社会を考えねばならないときが来ているのだと思う。

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2017年4月25日 (火)

なぜ労働者はトランプとルペンを支持するのだろうか?

 フランスの大統領選でマクロンがトップとなり、2位のルペンと決選投票に進むことになった。マクロンはEU擁護派であるが、既成政党のやり方には批判的であり、ルペンは反EU派であり、「フランス第一」をスローガンにしている。決選投票の行方はまだ分からないが、労働者の35%位がルペンを支持しているという調査結果も出されている。

 アメリカ大統領選でもラストベルトの労働者を初めとした労働者の多くが「アメリカ第一」のトランプを支持した。
 こうした状況はどこから来ているのだろうか?非常におおざっぱに言えば、労働者たちはEUやアメリカ民主党などに代表される「リベラリズム」が自分たちの立場を代表してくれなくなったと感じているからであろう。この傾向は日本でも民主党政権に期待した労働者たちが見事にその政策に裏切られ、その反作用で自民党安倍政権を支持する側に回ったことに現れている。
 アメリカ、フランス、日本それぞれのケースにあるこの現象の背景の違いは重要であるが、これらに共通するのは、真の意味で労働者の代表となる政党がなくなった、あるいは最初からないということだろう。そしてこれらの国々に共通することは、労働者が社会階層の中で大きな部分を占める、いわゆる「中間層」を形成していたことである。
 これらの国ではこの「中間層」の支持を得ることが国政にとって重要であったため、極端な国粋主義や民族主義は嫌われると同時に「社会主義」や共産主義というイメージも嫌われた。
 ところが、そうした国政運営で資本主義社会の成り立ちに内在する本質的な矛盾を問題にすることなく、基本的に資本主義経済を是認し、その発展を前提とした政策が採られ、その前提と範囲内での「左右」「中立」の違いが政党間の主張の区別になっていった。
 結果、アメリカでは民主党と共和党の主張の違いはだんだんはっきりしなくなり、結局、必然的に資本主義経済体制の様々な矛盾が表面化し、そのもっとも深刻な影響を労働者階級が受けることになったのだと思う。
そのことはフランスでも同様であり、安い賃金でも働く移民の流入や農業・製造業などのEU内で労働賃金が低い東欧の国々への依存度の増大などの結果、国内労働者の失業率の高止まりが常態となり、労働者の間でそれに何の手も打てない既成政党への不信感が高まった。
  しかし日本では、表面上失業率が低く、株価に象徴される経済状態も悪くないことや、野党のあまりにひどい状況や政権側の巧みな世論操作の効果もあって、安倍政権の支持率が維持されてきたといえるだろう。
 しかし、いまこれらの国々の「中間層」は明らかに分裂し、いわゆる「社会格差」が増大しており、下層化した労働者と上層部の富裕層化した労働者との間の、単なる収入の差だけではない階級的立場の分裂がはっきり現れてきていると思う。
 上層部の労働者たちは、資本主義経済体制の中に安住の場を見いだし、その立場から「リベラル」な主張を維持し続けている。彼らはもはや自分たちが労働者階級であることなど思っても見ない立場になっている。
 一方下層労働者たちは、そうした「リベラル」な雰囲気が嘘であることを知っており、「国際協調」や自由貿易主義が自分たちの犠牲の上に成り立っていることを直感的に感じている。
 こうした状況がいま「先進資本主義」諸国の労働者に自分たちの本当の味方を欲する切実な気持ちとなって現れており、その心情がトランプやルペンの主張に幻影を見いだしているのだと思う。
 しかしもちろん「自国第一」を叫ぶトランプやルペンは労働者階級の味方のフリをした右からの支配階級支援者に過ぎず、資本主義経済体制の矛盾を根本から克服しようとする立場では決してないし、結果として戦争の危機を招き、そうなればまたまた世界中の労働者が「自国のため」に互いに憎み合い殺し合わねばならなくなる。本来なら互いに連帯して戦争を防がねばならない同士なのに。

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2017年4月19日 (水)

トランプの「力による平和」の背景とその先に待っているもの

 (2017.04.20 一部修正)

トランプ大統領は、このところシリア内戦、対ISそして北朝鮮問題と続く緊張状態に「力による平和」をアピールしている。トランプは就任当初は「世界の警察官であることをやめる」と言ったオバマの戦略を引き継いだ様に見えたが、実はやはりアメリカの強大な軍事力で世界を支配しようという意思が強いことはこれであきらかになった。そしてその意向を汲んだペンス副大統領は日本を訪れ、安倍首相と「力による平和」で協調することを確認、同時に多国間貿易協定に代わる二国間貿易協定を推し進める意向を表明した。麻生財務相はこれに対して日本はアジアでの多国間貿易協定の主導的立場を採りたいと主張し、一定の抵抗を示したがおそらくそれに代わる何の展望もないのであろう。

 アメリカ国内ではアメリカ人の雇用を護るために外国人労働者の入国に厳しいフィルターをかけ、移民流入を抑え、アメリカ人にはアメリカ製の商品を買うようプッシュしている。その一方で日本や欧米の自動車メーカーなどにアメリカへの投資をプッシュし、それを行わなければ日本メーカーのクルマの輸入制限も辞さないとしている。さらに二国間貿易協定では日本からの自動車輸出などへの規制と同時にアメリカからの豚肉や穀物などの輸入についての規制を外せと迫っている。
 こうした一連のトランプによる政治的流れの中でいったい彼が何をしようとしているのかが見えてきた。
  「アメリカ・ファースト」はアメリカ第一主義と言われるが、要するに「アメリカは世界一強くて、世界の政治経済を牽引し、国内的には世界で一番裕福な国になる」ということであって、決してかつてのモンロー主義の様な「孤立主義」ではない。要するにアメリカ的世界を世界標準として認めさせ、そのリーダーとしての位置を力ずくで守りたいということであろう。
 これは20世紀には政治的にも経済的にも一大世界帝国であったアメリカが没落に向かうことへの恐怖と焦りの表れとも見える。かつて「パックス・アメリカーナ」時代の余裕の上に築かれていた「自由と民主主義のリーダー」としての顔の裏側にある国家エゴイズムが全面に出てきたようだ。
 しかしトランプの政策をこのまま推し進めればどうなるかを考えておくことが必要だろう。
かつて世界恐慌から抜け出し雇用を増やすために公共事業を拡大し、企業の投資を促し、過剰資本の処理形態である「無駄の量産(消費財の消費サイクルの無制限な拡大や軍需産業への莫大な支出、第3次産業など不生産的産業の拡大など)」によって産業を活性化させることで労働者の賃金が上がって行った結果、アメリカ的「豊かな国」が実現したが、いまこれが資本のグローバル化によって大きな壁にぶつかっているという事実をトランプは見ていない。それが崩れようといているときに、再びこの状態に戻ろうとするということは、まさに時代の逆行である。
 いまグローバル資本は世界レベルでの利潤追求のために資本の回転を加速させており、その中ではグローバル資本のもとで労働力を搾取される国の労働者が国境の内側にあってその国の生活水準ギリギリのレベルで働かされている必要があるのだ。
  そのことによってその国へのグローバル資本の投資が莫大な剰余価値を持った商品として国際市場に登場し、それによってグローバル資本家たちは莫大な利益をあげている。だからこうした国家間の「生活水準の差」がないとグローバル資本は利益をあげられなくなっている。だから本来インターナショナルに共通な立場に立つ労働者階級が連帯することはグローバル資本にとって最大の恐怖であって絶対にこれを防ごうとする。
 一方で生活水準の低い国々で働く労働者は、国境を越えて「豊かな国」に移住することでより良い生活を求めようとするのは当然のことである。しかし「豊かな国」の労働者はそれによって自分たちの職を奪われることを恐れ排外主義に傾く。それらの国の支配的階級はこの労働者たちの排外主義的流れを自分たちの利害を護るために巧みに利用しようしている。
 しかし他方でアメリカがトランプの「アメリカ・ファースト」をゴリ押しするならば、たとえ強大な軍事力をちらつかせながら貿易収支をむりやり改善させようとしても、アメリカ製品の国際市場での売れ行きは落ち、競争に負けるだろうし、競争に追いつくためには国内労働者の賃金を下げねばならなくなるだろう。その結果、製造業で利益を上げられないことを再認識したアメリカは、AIなどの知識産業、第3次産業やサービス産業など不生産的産業で儲ける資本家に依存せざるを得なくなるだろう。結果、一部の資本家や高給労働者以外のアメリカ国民は賃金が上がらないのに高いアメリカ製品を買わされることは嫌い、やはり安い外国製品に頼らざるを得なくなるだろう。 さらに生き残った稼ぎ手である知識産業やエンタテーメント産業にも外国から有能な労働者が簡単に入れなくなれば、次第にグローバル資本のアメリカ企業への投資は減っていくかもしれない。
 おそらく辣腕資本家でもあるトランプ大統領はそのあたりで自分の経済政策が間違っていたことに気づき、なし崩し的に軌道修正を行うことになるだろう。しかしその軌道修正は結局は一握りの大資本家が莫大な利益を上げ、アメリカの労働者階級はその「おこぼれ」で生活するというパターンに落ち着かざるを得ないと考えられる。
  その結果は、世界中にナショナリズムを流布させたことによる、「力による平和」をちらつかせる政治が横行し、世界からテロは減らず、格差はますます拡大し、国家エゴによる対立が激化する。
 そしてその先に待っているものは....... 戦争である。
 日本の安倍政権はこういうことに少しも危機感を持っておらず、オバマでもトランプでもアメリカ大統領のいうことには黙ってついて行くのである。世界市場でまだ強い自動車産業を助けるために農業を犠牲にし、小規模自営農業を大資本の元に集中させ、農民を農業労働者化させることになるだろう。そして憲法改定で国軍を保持し、「経済活性化」のためと称して軍需産業を拡大させながら、「自国のことは自国で護る」と見栄を張りつつ、在日駐留アメリカ軍の肩代わりを日本軍に行わせ、アメリカの軍事予算削減に貢献すること位しかできないだろう。
 

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2017年4月16日 (日)

山本地方創生大臣の暴言と安倍内閣の本性

 山本地方創生大臣が、記者会見で地方創生のためには博物館や美術館などの観光マインドのない学芸員の存在がガンであり、彼らを一掃しなければだめだ、と言った。

なんという驕りだろう!私にも学芸員の親類がいるが、この失礼極まりない発言にきっと怒っているに違いない。
  第一、観光で儲けるために学術的な知識を持って地道な研究に従事している学芸員の人たちを「役立たず」と見るほどに彼の頭の中は「経済最優先」なのだ。安倍内閣のほとんど全部がこんな人間がなのだ。要するにこうした発言の背景には首相自身の「安倍政権の方針に反対する様な公務員や教員は一掃すべきだ」という本音が聞こえてくる。
 どうも世界的にこういう独裁的な人間が「リーダーシップがある人間だ」とみなされて政府のトップに躍り出てきているようだ。まったく危険な時代になったものだ。こうしたおそろしいリーダーを選んでしまったのはわれわれ自身の責任でもあることを肝に銘じよう。

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閑話休題:北朝鮮問題を巡る「想定問答」

シリア問題に続いて、またまた「こうかもしれない」という仮想の「想定問答」です。

日本国首相執務室にて、
安部首相:「いま防衛省から情報が入ったが、北朝鮮でミサイルの発射があった様だが。どうやら失敗したらしい。トランプ大統領と連絡を取ってくれ」
秘書官:「はいすぐに」
まもなく部屋に戻ってきた秘書官:「トランプ大統領はいまフロリダの別荘にいるので、マチス国防長官と連絡を取りました。マチス長官は、いま調査中だが、おそらく北朝鮮は、トランプ大統領の意向をくんだ中国からの圧力を懸念しつつも、これまでの核保有国路線を堅持するという姿勢を見せたいので、威嚇の意味を込めて一発やったようだが、最初から「レッドライン」を超えないような範囲でこれを実行しようとしたようだ、とのことでした」
安部首相:「そうか、意外とキムも冷静だな。しかし国民にはこれが失敗していなかったら日本はどうなったか分からないとなるべく危機感を煽っておけ、これが憲法改正のおおきなバックアップになるかもしれないからな」
秘書官:「はい」
一方こちらはクレムリンの大統領執務室。
補佐官:「大統領閣下、いまアメリカと中国から情報が入り、北朝鮮がミサイルを発射したが失敗したそうです」
プーチン大統領:「そうか、トランプとは先日のシリアの一件で、連係プレーを試みたが、思ったほどうまく行かず、かえって中国の習とトランプを接近させてしまったが、トランプはそれが功を奏したと思っているだろうな。しかしそのミサイル失敗はミサイル発射プログラムへのわが軍情報部隊のサイバー攻撃によるものだとはまさか知るまい」
補佐官:「御意!」
プーチン:「中国はその件はあらかじめ伝えておいたが、トランプはおそらくこの後、北朝鮮をどう非核化しつつ話し合いのテーブルに着かせるかに関して何ら具体的戦略はないだろうから、結局中国頼みになるだろう。そこで、対中国関係も対韓国関係も悪化していて困った日本の安部首相がオレに何とか手伝ってほしいと持ちかけてくるだろう。そこでオレが習と手を組んで北朝鮮問題の調停の主役に躍り出るわけだ。トランプも手が出せまい」
補佐官:「さすがプーチン大統領閣下。抜群の戦略です」
プーチン:「うっはははは!」
ーーーこんなことではないといいですがね。

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2017年4月12日 (水)

こんな安倍政権がなぜ支持率が高いのか?

 シリアでのサリン(トルコ保健相が確認している)を使った反政府側市民への攻撃で、80人以上が殺され、多くが子供であったという事件に、アメリカがすぐさまこれをアサド政権の仕業として、政府軍側の基地をミサイルで攻撃・報復した。この事件に関しては、分からないことが多く、前回と前々回の私のブログでも書いた様な「想定」もあり得るという情況の中で、安倍政権はただちにアメリカの行動を支持した。

 その後イタリアで行われたG7では岸田外相も参加したが、ほぼ全回一致で、アサド政権の非人道的攻撃とそれに加担しているロシアを非難する声明が発せられた。もちろんロシアはこれに鋭く反発し、G7が化学兵器がアサド政権による仕業と決めつけたことに反対し、アメリカのミサイル攻撃を「侵略行為」だと決めつけた。G7諸国はトランプ政権の政策を「忖度」したのだろうか?
 一方、同時進行している北朝鮮の核ミサイル開発とアメリカ、韓国、日本への挑発的行為に対して、アメリカは、このまま行けばアメリカを攻撃範囲にとらえる大陸間核ミサイルが開発されてしまうので、いまのうちに北朝鮮を軍事的にたたく必要があると判断し、中国に北への圧力をかけるようプレッシャーをかけ、中国が有効な手を打てなければアメリカ独自に行動すると脅しをかけている。
 これに対応してアメリカの空母か朝鮮海域に向かっているが、日本の海上自衛隊がこれに従って「訓練行動」をともにしている。
 こんな危機的状況の中で、安倍政権は、南スーダンを巡る稲田防衛大臣の不透明な行為やとてもシビリアン・コントロールとは思えない一方的な行為や発言を繰り返す防衛大臣を容認している。つまり安倍政権はいまの危機的世界情勢を客観的にとらえることができていないのである。
 他方で森友学園問題で明らかになった右翼偏向思想を教育するための学校建設への実質的な莫大な資金援助と政治力の行使を行い、それを政治家による指示ではなく監督官庁側の「忖度」と見るのかどうかなどを巡る国会でのゴタゴタの過程で、事実の言い逃れをしながらも、教育勅語を学校教科に持ち込むこと自体は否定しないという発表を行った。
  文科省は、道徳の教科書に口出し、教科書会社に「伝統的日本のよき道徳」を強要する。教科書会社は安倍政権の意向を「忖度」して文科省に受け入れられる内容にする。
 こうしていま暗黙のうちに子供たちや若者におおきな思想教育の圧力がかけられている。先日の政府側の世論調査で、いまの若者の半数以上が「いまの生活はそれなりに幸福だ」と感じているという結果を出した。政府側の思想教育の成果が上がってきたのかもしれない。
 こうした若者の「保守化」の背景にはオリンピックやスポーツの世界で「がんばれニッポン!」キャンペーンがマスコミを通じてこれでもかこれでもかと行われており、「国民意識の向上」が図られていることも大きい。若者たちに「ニッポンはこんなに素晴らしい国だ!」という意識をどんどん植え付け、いまの日本が置かれているその真実の姿を見ようとしない雰囲気を作り出している。
 やがてこうした思想や「空気」のもとで育った若者たちは、いったん危機あらば、「祖国のために喜んで命を捧げます!」と進んで戦争に加わる兵士になっていくのかもしれない。
  「お国のため」という精神の吹き込みは、「自分という主体」を無にすることによって「自分」と同じような主体である他民族や他国の人々を殺しても良いという意識に置き換えさせてしまう、恐ろしい「洗脳」なのである。
 私を含めてあの戦争の時代を知っている人たちも残り少なくなってきたいま、若者たちにこの事実を分かってほしい。そして安倍政権のおそるべき欺瞞制を理解してほしい。

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2017年4月 8日 (土)

閑話休題 シリア毒ガス攻撃を巡る「想定問答」その2

一方こちらはその一日前のダマスカスのアサッド大統領宮殿。

補佐官: 大統領閣下、さきほどイドリブ県で空爆により化学兵器が使われたというニュースがアメリカから入りました。
大統領: ん?イドリブ県は反政府側の拠点があるので空軍機での攻撃を命じたが、化学兵器を使う予定はなかったはずだ。そもそもこちらはいまロシア軍の協力で反政府側を圧倒しているので化学兵器を使って世界中から非難を浴びるようなリスクは必要ないのだ。
補佐官: しかし、イドリブ県には以前化学兵器を全面廃棄すると宣言しながら、いつか使うべき時が来たら使えるようにと密かに残しておいた化学兵器貯蔵庫があるのです。
大統領: 知っている。いまは反政府側の巣窟になってしまった場所だが病院の倉庫の中なので彼らにはまだ気付かれていないはずだ。。
補佐官: はい、ところでいま新しい情報が入りました。わが空軍機の攻撃の際、発射されたミサイル一発がその病院に着弾したそうです。
大統領: うーむ、誤爆か!
補佐官: いえ待ってください。いまもう一つ情報が入ってきました。攻撃したのはわが空軍機ではなくロシア機だったようです。
大統領: 何だと。
補佐官: しかも攻撃は真っ直ぐにその病院をめがけて行われたようであります。
大統領: なにー! それではそのロシア機はあそこに化学兵器があることを知っていたのか! それにしてもなぜそんなリスクを冒したのか?
補佐官: どちらにしてもわが軍が化学兵器を使ってはいないと発表しましょう。
大統領: むむむ....。
ーーーーーーーーーー
 さて話変わってこちらはクレムリンのプーチン大統領執務室。
補佐官: プーチン大統領閣下、さきほどアメリカ大統領からの秘密情報により密かに知らされたイドリブ県の化学兵器貯蔵庫を爆撃し成功しました。
大統領: そうかアサッドは驚いただろうな。それにしても反政府側はアメリカに漏らした彼らの情報がまさかこんな形で返ってくるとは夢にも思わなかっただろうな、気の毒に。
しかし対外的にはこれは反政府側の仕業か反政府側が貯蔵していた化学兵器貯蔵庫をシリア軍が誤爆したことにすればいい。
補佐官: はっ!
大統領: おそらくトランプはわれわれとの秘密裏の連携作戦がうまくいったとばかりにすぐに予定通り報復に出るだろう。そうなればアメリカ大統領と私の「蜜月関係」などという噂は消し飛ぶであろうし、お互いに相手を気にせずに振る舞えるようになる。そしてアメリカは北朝鮮問題で中国との緊張が高まるだろう。そうなれば私は中国と接近しやすくなり、この問題でまた世界の主導権を握れることになる。
トランプは作戦が成功したと思うだろうがオレの方が一枚も二枚も上手だろ、ウハハハ......。
補佐官: 御意!
-----もちろんこれもフィクションです。まさかこんなことはないでしょうけどね、多分......。
それにしてもこれと似たような政治の駆け引きやだまし合いで人々は殺し合い、そしてもっとも弱い子供たちが犠牲になっていくのである。真実などどこにあるのだろうか?

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